房前 茂昭 氏
大分県檀信徒協議会長
大分県大分市法心寺筆頭総代
昭和22年1月13日生まれ
趣味:映画鑑賞、畑仕事
1日に5万巻遍もお題目を唱えた清正公さま
私の生まれ育った大分市鶴崎は江戸時代、肥後領(飛び地)として栄えた町です。そして菩提寺の法心寺は藩主・加藤清正公が建立したお寺です。
清正公は27歳の時、豊臣秀吉から肥後(現在の熊本県)を任されるのですが、大阪を出て船で瀬戸内海を通り、鶴崎に上陸、阿蘇を越えて熊本へ行くのです。
その後、自分の寝泊まりするこの地に、お題目を唱える道場がなくてはということで法心寺を建立、鶴崎の港や町並みを整備したのです。
家が代々日蓮宗いうこともあり、祖父の法事の時や亡き両親がお寺に参る姿、信仰する後ろ姿を見てきたせいか、気がつくと自分もお題目を唱えお寺に参るようになっていました。
私は警察官でしたので転勤が多く、10回ほど転居をしました。
子どもは小さい頃に学校になじめず、涙している姿を見せることがありました。そんな時は近くのお寺を頼ってお参りをしました。
職業柄、浩宮皇太子殿下(当時)が行啓された時、御料車の後続車に乗っての警備や、要人のSPなども経験させていただきました。重要な任務につく前はいつもお寺に参り、お題目を唱えご加護を願っていました。
定年後は亡き父の後を継ぎ、お寺や地域のお世話などをさせていただいています。
昨今、コロナウイルスが蔓延する情勢を思うに、感染予防も大切ですが、人と人との距離が離れていっていることに、心を痛めています。
葬儀は隣保班でも参列できず家族葬となり、法事も県外からはお参りできないなど…、当たり前だったことがそうでなくなってきています。
また、通りや店舗のなかで人がすれ違う時、誰も悪くはないのになんとなく避けたい気持ちになっているように感じています。
以前、佐々木浩文住職とお話ししたとき「すべては心にあるよ」と教えられました。他人を疑うことによって自分の心が不安になり、人や物事を嫌う心で苦しみを深めているのです。この世の中を住みにくくしているのは、自分の心ではないでしょうか? そんな気づきを与えてもらいました。
佐々木住職から常々、清正公は1日5万遍もお題目を唱えていたと聞いています。5万遍には及びませんが、私も精進していきたいと思っています。
「新しい生活様式」が、お題目を唱え、お互いがお互いを拝み合うような「心のこもった生活様式」を実践していきたいものです。