歩むべき正しい道を次代へ示す
佐藤雄三氏
全国檀信徒協議会常任委員
福島県檀信徒協議会長
郡山市法現寺責任総代
昭和25年7月6日生まれ
趣味:クラシック音楽鑑賞、旅行
慈悲・感謝・利他の心をつないでいこう
菩提寺・福島県郡山市法現寺の鬼子母尊神大祭の当日、7月7目、午前6時半ごろのことでした。庭から猫の鳴き声が聞こえてきました。見れば痩せた母猫と子猫が4匹。
急いでコンビニに猫のご飯を買いに走りました。よっぽど腹をすかせていたのでしょう、子猫たちはカリカリ(ドライキャットフード)をむさぼり食べていました。
母猫はもっと痩せ細っているのに、辺りを警戒し、子猫の食事がすむまでじっと見守っているではありませんか。子猫がお腹いっぱいになって、離れてからようやく母猫が食べ始めたのです。
人間と動物は違いますが、親が子を思う気持ち、わが子への愛情、母性愛は同じでしょう。鬼子母尊神大祭の朝に猫に教えられた「子を思う親の愛」は偶然だったのでしょうか? なんともいえない不思議な思いを抱かされました。
小学校低学年の頃から、自宅仏間での朝晩の勤行では、祖父の隣で大太鼓を「ドンツクドンドンツクツク」とたたいてきました。雪の積もった寒い冬の夜に長靴を履いて厚着をし、寒行の列について行ったこともありました。
大晦日には、1年の家内安全と見守っていただいたことへの感謝を込めて墓参りを欠かしませんでした。元日の朝には家族が仏間に揃って、健康で新しい年を迎えられたことに感謝し、手を合わせてきました。
いただき物はまず仏壇に、朝ご飯と朝茶もまずは仏壇に、旅行や孫の運動会にも「事故なく・怪我なく・病気なく、トラブルに遭いませんように」と祈り、帰ってきたら「護っていただいたおかげで無事に戻りました」と手を合わせてきました。お寺に行くときは、「今日はお寺の行事に行ってきます」と報告し、戻ったらお寺からいただいたお供物やお礼・菓子類をご仏壇にお供えしまた。
「家に讃教の勤めあれば七難必ず退散せんと」……。日々の安寧とご先祖への感謝。祖父母や父母がしていたように、今は私が朝晩仏壇に向かいお題目に出会えた喜び、「生かされている」ことに感謝し、「利他の心でみんなのために」と念じ日々精進してきたいと誓っています。
これらのことはすべて祖父母と父母から教わってきたことです。私もまたこのことを子や孫に伝えていきたいと思います。それが信仰の継承であり、歩むべき正しい道の継承だと思います。あの日の子猫たちもきっと、立派な親猫に成長してくれることでしょう。

