だんしんきょう 令和2年 5月号

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開催日:2020年05月01日

安井 賢二 氏
全国檀信徒協議会常任委員
福井県中部檀信徒協議会会長
越前町蓮蔵寺総代
昭和15年10月4日生まれ
趣味:登山、生け花、カラオケ

座右の書は『日蓮大聖人のお言葉』

 私には座右の書といえる本があります。それは『日蓮大聖人の言葉』(兵庫県東部布教師会発行)です。毎朝声に出して読むことを目的に作られた本で、1日から31日まで日蓮聖人のお言葉の大切な部分が記されています。なかでも私の心を打つのは『刑部左衛門尉女房御返事』の一節「父母は常に子を念えども、子は父母を念わず等云云…」です。このお言葉と、それに続く現代語訳と解説部分の「今日の糧」は何度も読み返しています。日蓮聖人ですら「未だ父母への孝養足らず」と懺悔しています。いわんや私たちをやです。「足らず」とは父母やご先祖さまへの孝養は、いくらしてもし足りないということです。そして「足らずはお寺参りから」というのが私の考え方です。
 私の父は戦時中に、ミャンマーで31歳で戦死しました。私が親と一緒にいられた時間は短いものでした。できなかった孝養に「足らず」の思いでいっぱいです。日蓮宗では亡くなると霊山浄土に行くと教えます。霊山浄土のご先祖さまや亡くなってしまった親と生きている私たちをつなげる場所、それがお寺なのです。私たちが生きている間にしなくてはいけない「足らず」を補うことは、お寺参りやお墓参りに行くことだけともいえるでしょう。私は「父母やご先祖に会うためにお寺参りをしてください」といろいろな人に伝えてきました。ささやかな行いですが、これが私の「立正安国・お題目結縁運動」の実践です。自分のいのちは親からいただいたものであり、代々のご先祖さまからいただいたものでもあります。運動のスローガンの「いのちに合掌」には親やご先祖さまへの感謝の意でもあろうかと考えています。
 私は約15年間、毎朝5時から始まる菩提寺(福井県越前町蓮蔵寺)の朝勤に参列し、最後に鐘をついて帰ります。朝勤は私を含めた5人と住職とで営みますが、日によっては参加者が増えます。「今日は親の命日だから」といって決まった日にだけ来る人、何か思うことあって急に参加する人もいます。多い日は20人位が集まります。これは「毎日、蓮蔵寺では檀信徒を交えた朝勤が行われている」ということが知れ渡った結果だからと思います。私たちには菩提寺での毎朝のお勤めは当たり前に思いますが、本山などの大きなお寺以外では珍しいことのようです。これは檀信徒だけでなく住職や寺族の協力もあってのことです。感謝していますし、菩提寺を誇りに思っています。
 そんな菩提寺ですので、お寺と檀信徒の風通しはとてもいいのが特長です。身延山輪番奉仕や団体参拝などの行事も活発です。また、近くの日本100霊山・越知山の木の芽谷コースに蓮蔵寺の開祖日怡上人の建立した題目碑があり、檀信徒有志で毎年4月15日に団体参拝と清掃を行います。また大晦日には毎年、「除夜の鐘つきのつどい」が開かれ、全員で鐘をつきます。つきながら皆でぜんざいを食べ、その後、本堂で新年初の朝参りを行います。お寺と檀信徒が協力していけば、お寺はどんどん居心地のいい場所になるはずです。私のお寺の取り組みが、みなさんのお寺の活性化につながるヒントとなればと思い、書かせていただきました。
 はじめから高いハードルと作らず、誰でも簡単にできることが大事だと思います。宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」は誰でもできるお寺参りからはじめようではありませんか。
※文中にある『日蓮大聖人の言葉』(兵庫県東部布教師会発行)は日蓮宗新聞社営業部(℡03・3755・5271)で取り扱い中。1冊税込み●円(送料別)
 
 

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