葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》東京富士美術館蔵「東京富士美術館収蔵品データベース」収録(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/03628/)
葛飾北斎(1760-1849)といえば、モネやドガ、ゴッホなど印象派の画家たちに大きな影響を与え、19世紀のヨーロッパにジャポニスムの潮流を生み出した、我が国を代表する天才浮世絵師として有名です。
「北斎」の名乗りは、天空において唯一不動の守護星「北極星」に因んだものと言われます。この北極星や北斗七星を神格した化身が「妙見菩薩」で、鎌倉幕府屈指の御家人千葉氏が一族結束の象徴である軍神(いくさがみ)として信仰したことで知られ、妙見菩薩を崇拝するこうした北辰妙見信仰は、千葉氏の帰依を受けた日蓮宗寺院を拠点に全国各地に広まりました。
北斎も、近世中期に殷盛を極めた江戸の柳嶋妙見堂(日蓮宗法性寺)を深く信仰し足繁く通った熱心な日蓮信者であったことが知られます。彼の作品には、日蓮や法華経への敬虔な信仰心、特に妙見信仰や富士信仰がバックボーンにあったと考えられ、自然の力や神聖な存在への畏敬の念が絵筆を通して表現されていると言われています。
今年、令和3年(2021)5月21日、葛飾北斎を主人公に描いた映画「HOKUSAI(北斎)」が上映されます。柳楽優弥が若き日の北斎を、田中泯が晩年の北斎をそれぞれ演じ、映画前半では、若き北斎との絡みで、江戸吉原や日本橋で耕書堂を開いた版元・蔦屋重三郎はじめ、喜多川歌麿・東洲斎写楽、西村屋与八が世に送り出した戯作者(げさくしゃ)柳亭種彦も重要な役どころで登場します。特に北斎を演じる田中泯の鬼気迫る名演は必見です。是非ご覧下さい。
なお、要傳寺からほど近い台東区元浅草には、北斎の墓がある誓教寺が、お隣の墨田区亀沢には北斎の作品を通じた地域活性化の拠点すみだ北斎美術館があります。そちらも是非お立ち寄りください。
また、当サイトの北斎関連の記事は下記の通り。
・葛飾北斎の法華信仰~映画「おーい、応為」に寄せて~
・「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」観覧
・立教開宗750年記念『大日蓮展』開催



