令和10年(2028)のNHK大河ドラマ第67作は、「ジョン万次郎」こと中濱万次郎(なかはま まんじろう、1827-1898)を主人公に描く「ジョン万」に決定しました。
中濱万次郎は、幕末にアメリカへ渡り、日本がまだ外国との交流をほとんど行っていなかった時代に、海外の文化や知識を学び、これを日本に伝えて日本と海外の架け橋となった人物として知られます。
文政10年(1827)、土佐国の漁師の家に生まれた万次郎は、14歳の時、出漁中に暴風雨に遭って漂流し、アメリカの捕鯨船に助けられます。その後、船長ホイットフィールドの養子となって水夫として働きつつ、英語・航海術・造船技術などを学ぶなどして10年間をアメリカで過ごし、嘉永3年(1850)、23歳で帰国しました。
嘉永6年(1853)7月のペリー来航を機に、将来的な黒船来航への対応を迫られた幕府は、アメリカの知識を必要としていたことから、万次郎を召聘して直参の旗本の身分を与えます。万次郎は韮山の江川英龍(えがわ ひでたつ、1801-1855)の配下となって幕府直参の御普請役として奉職。ペリーへの対応策や日米和親条約の交渉に関わる中で、当時の勘定奉行・川路聖謨(かわじ としあきら、1801-1868)や下田奉行・井上清直(いのうえ きよなお、1809-1867)らに助言を求められることもありました。
万延元年(1860)年、勝海舟(1823-1899)・福沢諭吉(1835-1901)らとともに咸臨丸(かんりんまる)で再びアメリカを訪れ、太平洋横断使節団の通訳・航海士として活躍し、帰国後は 福沢諭吉らに英語や測量術を教え、日本初の航海学書や英会話書を執筆、開成学校(現・東京大学)の教授も務めました。
ドラマでジョン万次郎を演じるのは山﨑賢人。令和9年の「逆賊の幕臣」に続き、幕末・維新を掛けぬ抜けたこの国の先人達の足跡を描く大河ドラマ「ジョン万」。本作には「青天を衝け」や「逆賊の幕臣」にも登場した個性あふれる人物たちが再登場することが予想され、両作品での描かれ方を比較するのも楽しみなところです。
世界遺産「韮山反射炉」(2006年、住職撮影)。幕府は、江戸湾海防の実務責任者となった伊豆韮山代官・江川太郎左衛門英龍に対して、江戸内湾の台場築造と並行して反射炉の建造を命じた。反射炉とは、金属を溶かして大砲などを鋳造するための溶解炉で、韮山反射炉は、実際に稼働した国内唯一現存の反射炉。英龍が建造を手がけ、その息子英武が完成させたもので、台場に配備する鉄製加農砲(かのんほう)や青銅製野戦砲などの西洋式大砲の鋳造に用いられた。
江川家菩提寺の韮山本立寺(2006年、住職撮影)。江川英龍は、鎌倉時代以来続く日蓮宗の篤信家である江川家第36代当主。
なお、当山サイトに掲載した幕末・維新関係記事の一覧を以下に掲出いたします。併せてご覧下さい。
・第66作NHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」放送決定!!
・幕臣 川路聖謨の特集番組放送
・NHK大河ドラマ「青天を衝け」と川路聖謨
・尾高惇忠と速水堅曹~NHK大河ドラマ「青天を衝け」に寄せて~
・富岡製糸所長 速水堅曹について(盂蘭盆施餓鬼会特別講演)~NHK大河ドラマ「花燃ゆ」に寄せて~
・高松凌雲と鶯谷医院
・鶯谷の鹿鳴館~陸奥宗光旧別邸~
・旧感應寺先師報恩法要・彰義隊遠忌法要
・上野彰義隊第150遠忌集録発刊
・上野彰義隊第150回忌墓前法要
・寺報『法住』40号(平成29年1月号)発行
・要傳寺檀徒の系譜(その3)~要傳寺過去帳にみる寺檀の歴史~
・【推薦図書】虎屋文庫編『和菓子を愛した人たち』(山川出版社)
江川邸(2006年、住職撮影)。江川英龍は、高島流砲術の学問所・韮山塾を開き、天保14(1843)年2月、最初の問人・松代藩士の佐久間象山に1日遅れて入門したのが川路左衛門尉聖謨であった。象山に次いで入門した聖謨であったが、江川家では爾来、聖謨を「第一番入門者」としている。
日英修好通商条約交渉時(安政5年)に撮影された写真。撮影場所は、英国側の宿舎となった芝の西応寺(東京港区芝)と推定される。後列左から岩瀬忠震・水野忠徳・津田半三郎、前列左から森山栄之助・井上清直・堀利煕・永井尚志(ビクトリア&アルバート博物館蔵)
※ その他の大河ドラマ関連記事は、コチラから。

