大阪伝統行事のご紹介(その2)
平成30年、あけましおておめでとうございます。
皆さま方には、平素なにかとご支援、ご協力を賜りありがたく厚く感謝申し上げます。おかげさまをもちまして、無事檀信徒協議会もその役目を1歩1歩着実に前に進めることができていると思います。今後ともよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。
前回、大阪市正蓮寺の川施餓鬼について紹介いたしました。今回は能勢町の「能勢の妙見さん」を紹介したいと思います。「能勢の妙見さん」の愛称で親しまれている大阪北摂にある日蓮宗の霊場で、お祀りされているのは妙見大菩薩で、星の王さまといわれる北極星の守護神です。星の動きを支配し、運気を好転させて下さることから開運の神さまとして知られています。
昨年10月下旬に、縁があり参拝させていただきました。現在では大阪の都市部から1時間強で行けますが、少し前まで電車で2時間前後かかりました。昭和の前半までは大阪市内からですと1泊で行く場所で、大阪府の秘境でした。現在でも霊験あらたかな雰囲気に囲まれた霊場です。
妙見さんの歴史は古く、奈良時代に行基菩薩が開闢したといわれています。平安時代には清和源氏の鼻祖である多田満仲が信仰し、満仲の子の源頼光も大江山の鬼退治の折に妙見さんに祈ったといわれています。その後、満仲の孫の源頼国が能勢の地を所領し、以降その子孫によって妙見さんの信仰がずっと守られてきました。さらに昔に思いを馳せると、能勢妙見山の境内地には天然記念物のブナ林が広がっており、氷河期時代から1度も切られたことのない鎮守の森があることから、もっと古い時代から信仰があったともいわれています。時代が下り、江戸時代には「妙見」という字が、「言葉で表現できないほど美しい姿」を意味することから、大阪のみならず京都の歌舞伎俳優や祇園の花魁などの信仰も集め、4代目中村歌右衛門が寄進した浄水堂は有名です。
妙見大菩薩の眷属は馬といわれ、能勢妙見山の境内には北斗七星に見立てて大きなご神馬さんの像が7体あり、さらに輔星に見立てた小さなを含めて八神馬と呼ばれています。お参りの際は8頭のお馬さんを探して歩いてみるのはいかがでしょうか。また、妙見さんのご神馬は「絵馬」として私たちの願いごとを妙見さまに運んだり、かわいらしい「馬みくじ」として妙見さまのご宣託を私たちに届けてくださいます。
妙見さんにはいろいろ行事があります。近いところでは2月11日のお火焚き祭りは圧巻です。大阪府下では最大級の火檀をで行う祭りで、申し込みすれば誰でも火檀に自らの祈願を書いた祈願矢を投じることができます。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
各地区にはそれぞれに、日蓮宗の由緒ある霊場があると思われます。私たちの代で続いてきたさまざまな行事が途切れるようなことがないよう、次の世代にバトンをつないでいきたいものです。子どもは私たちの背中を見つめています。何事においても模範となるような行動、振る舞い、礼儀を示していきたいものです。