だんしんきょう 平成29年 6月号

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開催日:2017年06月01日

  水のような心で
  法華信者の信心の心得
 
有賀 一夫 氏
全国檀信徒協議会常任委員
京都府第1部檀信徒協議会長
京都頂妙寺塔頭妙雲院総代役員
昭和10年10月2日生まれ
趣味 読書
 
 東京・大本山池上本門寺に、「水のこころ」という詩がかかっています。「水のようにいきいきと」「水のように力づよく」「水のようにこだわらず」「南無妙法蓮華経」と。水には煩悩や欲望の垢を洗い落とす働きがあります。
 私は信州・穂高の出身です。北アルプスの豊かな伏流水に恵まれ安曇野平で山葵の栽培をしています。故郷の自然に感謝、故郷の水に感謝の日々です。
 私は子どものころから水の大切さを教えられました。水は私たち人間に計り知れない恩恵をもたらしますが、時として底知れない脅威をもたらすこともあります。
 この水の性質をかりて、人生の教訓としたものに「水五則」があります。作者は軍師・官兵衛。「この男がいなかったら(豊臣)秀吉の天下はなかった」と言われた戦国武将・黒田官兵衛。本名・孝高、出家して法号・如水と伝えられています。
  「黒田如水の水五則」
一、みずから活動し他を動かしめるは水なり
一、常におのれの進路を求めてやまざるは水なり
一、障害にあって激しくその勢いを百倍し得るは水なり
一、みずから清くして、他の汚濁を洗い清濁あわせいるは水なり
一、洋々として大海を満たし、発しては霧となり雨雪と変じて霰となる。凍てては玲瓏たる鏡となり、しかもその性を失わざるは水なり
 過日、京都・大本山本圀寺貫首・伊藤日慈師に、「水五則」に二則を加えて、檀信徒の信心の心得としなさいと教えられました。
一、高きより低きへ、浅きより深きへと流れて自然の法を示す
一、日蓮聖人の言葉を加えて曰く「垢穢を浄むることを以て行と為す」
 このように水七則のような法華経の信仰こそが必ずや私どもに真の「安心の決定」をもたらすと信じます。
 中国の古典に「君は舟なり、庶民は水なり、水は即ち舟を乗せ、水は即ち舟を覆す」とあります。水は舟を浮かべる働きをしますが、時として舟を沈める力を持っています。君を為政者・僧侶、庶民を国民・檀信徒と置き換えればそのまま宗門の僧侶檀信徒の教訓となります。水の恩恵を肝に銘じ、謙虚に水から学びたいものです。
 昨年は熊本地震や過多な台風被害に襲われました。加えて凶悪犯罪、契機の低迷など、さまざまな不安が私たちを襲いました。
 こんな現実の生活の中で地代の変化に立ち向かい、信心の火をおこし、人が互いに信じ合えるお題目の結縁を目指しましょう。ご降誕八百年に向けまして。
 そして「水のような心で」私たち檀信徒がいかに僧侶の教えを守り、道場を守護し、未信徒を救護し、次世代の若者たちに信仰の道を開き、法華経の信者として宗門を支えましょう。

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