全国檀信徒協議会常任委員
岡山県檀信徒協議会会長
岡﨑 惇 氏
高齢化社会の課題と慰霊団体参拝について
高齢化に伴う課題は檀家の皆さんもいろいろあると思いますが、墓の問題について取り上げてみたいと思います。
【①維持管理の事例】ある人には父親が昭和のはじめに建立した墓が山の中腹にありました。お彼岸、お盆は欠かさずお参りをしていましたが、年齢とともに難しくなり、大阪に住んでいる息子に相談。後を継がないということから、やむなく墓じまいにしてしまったそうです。年には勝てないとのこと。納骨先は多くの人を合葬する施設だそうです。
【②墓を移転する事例】私の友人は東京に墓を移しました。こういうケースは岡山県内では2013年に1119件あり、ここ10年で1・6倍になったそうです。背景には少子化や人口の流動化の進展があるようです。墓の継承にも大きな影響を与えていることでしょう。
【③無縁墓の問題】2013年にある市の全墓地を調査したところ、墓の4割以上が無縁墓という結果がでたそうです。寺院の経営上の問題も含め大きな問題であることでしょう。また、無縁墓ではありませんが、嫁いだ娘が実家の墓守をするケースも増えたようです。距離ができたことで墓参が減り、供養の心が減ってしまうのではないか心配です。
【④散骨ブーム】海や山への散骨を望む人が増えたと聞きます。しかも若い人ばかりではないそうです。故人をどこでどう偲んだらいいのでしょう。将来、残された親族が悩むことも考えられます。一時的なブームに乗ると取り返しがつかないことになりかねません。
【⑤まとめ】墓の問題を取り上げましたが、根底には親の子への遠慮があるのではないかと考えられます。それによって次世代の菩提寺への関心が薄まることが心配されます。信仰に対する自信を深め、家族にそれを伝えてていくことを率先するのが檀信協の役割であると考えます。しっかり信仰が継承されれば、おのずと墓の問題で心配することがなくなることでしょう。
さて、終戦70年の節目となった昨年、岡山県宗務所は沖縄慰霊団体参拝を6月29日から7月1日に実施し、檀信徒30人が参加しました。沖縄では太平洋戦争中、約24万人の尊い人命が失われました。その沖縄の地で、読経唱題をもって戦争死没者への供養を捧げ、悲惨な戦争を二度と繰り返さないという立正安国・世界平和の祈りを捧げることができたのは、たいへん意義深かったと思います。
摩文仁の丘にある平和祈念堂に続き、岡山の塔にも参拝しました。また那覇市法華経寺にも参拝し、法要に参列しました。次世代に戦争の悲劇を伝え残し、平和の尊さを教えてていくこと。これも檀信協の大事な役目です。この団参では、宗務所と連携してそれを実践できました。これからも宗門や宗務所とともに安穏な社会づくりの一端を担えればと考えます。