全国檀信徒協議会常任委員
熊本県檀信徒協議会会長
宮本清徳 氏
今から50年前、勤めから帰宅すると、義父から小包が届いていました。開けてみるとお曼荼羅の入った小さな仏壇がありました。
無信仰な私でありましたが、近くの日蓮宗のお寺にお願いしてお曼荼羅を開眼しました。それ以来、仏飯、お茶、お水を供え、お題目を唱えるようになりました。このようなご縁で、妻の実家の菩提寺の熊本市延壽院に家族で足を運ぶようになりました。
お寺に参拝するたびに、当時の住職から戦後のお寺の様子、修行時代の話しを聞くにつれ、少しずつ信仰の大切さを感じるようになりました。やがてそれは人生の指針になってきました。
私の家はもともと真宗でしたが、「真の心の豊かさを育んでいくためには法華経を学ぶこと」とつぶやいた義父の一言で、日蓮宗に宗旨替えする決断をし、延壽院の檀家になりました。それからは、どんな多忙な日であっても、出勤前に1時間ほどお勤めをするのが日課になりました。
昭和54年に東京から両親が帰郷、同居することになりました。「神も仏もあるものか」と言うほど無信仰な父でしたが、いつしか仏壇に手を合わせるようになりました。父は晩年になって初めて仏の道を求めたようでした。
こうして二人の父と住職によって、私たちは生老病死を身近に体験するなかで、すべてのものに感謝し、すべてを敬い、すべてを慈しむ、そして全体とともに生きるすべを身をもって教わったことに気付かされました。
その後、濵田義正住職のもと護持会が結成され、本堂の増築、庫裡の改築が行われ、菩提寺は発展の一途をたどっています。その背景には住職、奥さまの努力と檀信徒の協力があってのことと思います。定年退職後は檀信徒協議会の役員に推薦され、平成22年度から会長を拝命しました。宗務所役員のご指導、先輩と役員のご協力をいただきながら大過なく務めているところです。熊本県檀信徒協議会の活動ですが、年度始めに宗務所役員と合同で前年の反省をし、指導を受ながら年4回の役員会を開きます。最近は信行の会、県・教区の研修道場などで、すばらしい信仰の篤さに触れることがあります。自分の信仰の未熟さを認識するとともに、日々精進しています。
私は常にお題目を唱え、信仰の相続のために、静岡県に住む長男にはお曼荼羅の入った仏壇を送りました。仏飯などを供えて頑張ってくれているようです。次男にはお盆と正月の墓の掃除をさせ、家族での墓参りをさせています。信仰の相続にはいろいろな方法があると思いますが、傍観するだけでは進展はありません。まず行動に移すことが大事だと思います。
今後は、日蓮聖人に感謝し、一檀家として信仰に励み、宗門の発展と菩提寺の繁栄に微力ではありますが、努力していこうと思っています。