普段当たり前のように思っていること、自分が親になったり、小さな子どもに聞かれた時に、改めて「そういえばなんでなんだろう?」と思うことはありませんか?
「悪いことをしちゃいけません!」
「…はーい…でもなんで?」
「……それは…」
子どもは純粋でとても素直です。分からない、まだ知らないから、なんでも疑問に思って聞いてくるのです。
当たり前だと思っていたことだけに、突然の質問で答えに詰まってしまったりもします。
仏教•お釈迦さまは世の父とも称され、いまだ教えを知らない者に、時に優しく分かりやすく教えを説かれます。
「もろもろの悪いことをせず、進んで善いことを行い、自らその心を浄めなさい」
諸悪莫作 諸善奉行 自浄其意 是諸仏教
これは、七仏通戒偈といわれる仏教の教えです。
人やあらゆる物は、他の人•あらゆる物との関わり合いなしでは、存在することは出来ません。
目には見えないけれども、人は空気なくしては生きていられないように。
太陽の光が照りつければ、海面は蒸発し、雲を作って雨を降らせます。
人や生物が動けば、大気を押し動かし、風を起こします。
目には見えないけれども、そうしようと意識していなくとも、あらゆる物と密接に関わり合いながら、あらゆる物は存在し、絶えず動いているのです。
悪いことをしていると、その悪いことがたまっていき、必ずなにか悪い物事が起こります。
悪いことは心の中にもたまっていき、いつか必ず表に出ていきます。
善いことも、行うことでたまっていき、必ず善いことが起こります。
しかし、人間には怠け心があります。気をつけていないと、すぐに怠け心が起こり、善いことをする機会を逃してしまいます。ですので、自ら進んで善いことをするように努めることが大切です。
努めて、自ら進んで、善いことを行っていきたいものです。
一人一人が行う善いことは、とても小さなことかもしれません。
それでも悪いことをせず、心を浄めて、自ら進んで善いことを行っていけば、きっと、必ず、なにか善いことが起こります。
「…なんで悪いことしちゃいけないの?」
「それはね…、みーんなつながって生きているから、悪いことをしていると、いつか必ず自分自身にも悪いことが起きるんだよ。
その反対に、善いことをしていれば、いつか必ず自分にも善いことが起こるからね。
悪いことはしないで、自分から進んで善いことをしようね。」
なんだか、自分が子どもの頃に、おじいちゃんやおばあちゃんにこんな風に言われたことがあるような気がしませんか?
仏教の教え、子どもに聞かれた時は、いつまでも、優しく、言い聞かせてあげたいものです。