日蓮宗東京都四部布教講習会開催

開催日:2025年06月17日

 令和7年(2025)6月17日、令和7年度日蓮宗東京都四部布教講習会がア-トホテル日暮里ラングウッド(東京都荒川区)にて開催されました。
 本年は、「これからの布教~対話型・体験型・交流型実践に学ぶ」をテーマに、各種メディアや外部人材を寺院経営・布教伝道に有効活用し、対話型・体験型・交流型教化を実践されている3名の講師をお招きして、鼎談形式のシンポジウムを企画しました。

 当山住職司会のもと、冒頭、日蓮宗東京都北部宗務所長・谷中大行寺住職 荒井稔宣師導師による法味言上ならびに開会の辞ののち、埼玉高応寺住職 酒井菜法師より「参加者を20倍にする方法」と題してパネル発表をいただきました。
 檀家寺ではないという逆境にあって、檀信徒とは異なる層を寺に引き込むために、外部人材や団体を活用している実践事例の報告でした。そうした活動のためには、お寺の住職は、安全・安心な環境作り、非営利の公益性、政治的・宗教的に不偏不党の中立性を担保することに徹し、必ずしも伝道布教に軸足を置かずに、寺の敷居を低くして未信徒である地域・社会の多くの方々との縁を結ぶよう心がけることの大切さを熱く語られました。中には、そうした雰囲気作りを通して仏教に関心が沸き、信仰につながるケースもあるとのこと。注意点としては、外部団体の選定に当たり、宗教勧誘や営利活動を目的としていないことをしっかりとリサーチする必要があることもご教示頂きました。
 昼食を挟んで、横浜妙法寺 久住謙昭師により「お寺の『再編集』」と題するパネル発表。僧侶は「人生のコンシェルジュ(総合世話人)」であるという観点から、寺は檀信徒教化だけではなく、寺に縁遠い未信徒にも積極的に関わらなければならないと主張され、寺離れという現象は、世間が寺から離れているのではなく、寺の方が世間から離れているのではないかという危機感から、お寺はもっと社会と関わることが大切であると訴えられました。そうした中で、お寺を盛り上げるアイテム作り、お寺でなければできない体験を通じて、シナジー効果を上げるようなお寺のグランドデザインの実践事例を数多くご報告いただきました。檀家以外の会員制度を立ち上げて、未信徒と寺とを結ぶ「かかりつけ寺院」の取り組みも、たいへん参考になりました。
 休憩時間中には、久住師のお取り計らいで、参加者が実際に手にとって見聞触知できる「地獄VR」の体験ブースもご用意いただき、バャーチャルリアリティの仮想空間で地獄・餓鬼・畜生界の旅を味わうことができました。
 引き続き、富山県経妙寺住職・真成寺副住職 谷川寛敬師により「甦れお寺の価値!取り戻せ檀信徒!―SNSやネットを活用した布教と、現場布教の融合―」と題してパネル発表をいただきました。
 「信仰の過疎化」ということが叫ばれる現代、それは単にお寺が世間のニーズに対して鈍感・無関心になっているだけで、実際には、心の悩みを受け止めてくれる場所がなく困っている人や、本物の宗教との接点が希薄になってしまったために信仰に飢えている人も世の中には増えてきているのではないか…そうした実感を抱き、現代社会において、いかに仏祖の教えを発信していくかを模索した結果、お寺と世間とを取り結ぶSNSの活用に思いが至った経緯を語って下さいました。ご発表の中で、SNSのようなデジタルメディアについては、ハイリスク・ハイリターンの二面性をしっかり理解し、「発信する覚悟と希望」をもって適切に活用していかなければならないことにも触れて頂きました。また、デジタル布教だけを頼りにするのではなく、オンラインとオフライン、バーチャルとリアルの融合へと繋いでいくことの大切さ、またその可能性についてもご示唆いただきました。

 パネル発表の後、日蓮宗第4選挙区宗会議員・足立法立寺住職 渡邊彰良師をコーディネーターとして、会場から届いた質問なども採り入れながら、パネルディスカッションが開かれました。
 鼎談では、これまで外部人材や各種メディアを寺院経営・布教伝道に有効活用されてきたフロントランナーの講師たちから、「開かれたお寺づくり」のために常日頃こころがけている事などについてお話しを伺うことができ、会場も巻き込んでの活発な質疑応答・意見交換がなされ、有意義な内容となりました。
 その中で感じたことは、いかに布教の場を取り巻く環境が進化した時代になっても、これだけは絶対に忘れてはならないこと…、それは、私たち教師は、新しいお寺のグランドデザイン、新しいデジタルテクノロジーに片足は突っ込んでもよいが、もう片足は仏祖の教えという大地に確りと立って飲み込まれないよう常に気を張り、布教実践に取り組んでいく必要があるということ、いみじくも谷川師がパネル発表の中で語られたように、単に楽しい・癒やされる・感動するだけではなく、「意味のあることにつないでいく」必要があるということです。そうしたことを学べた、また考えさせられた、本日の講習会ではなかったかと思います。
 結びに、東京都四部布教講習会次期開催当番管区の日蓮宗東京都東部宗務所 鈴木貫元所長御導師のもと法味言上およびご挨拶、主催者を代表して東京都北部布教師会会長・国土安穏寺住職 新井智顗師による謝辞をもって、閉会となりました。

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