お彼岸と言いますと、先祖供養やお墓参りと思い浮かべてしまいますが、実は、生きている私たちの仏道修行の一週間でもあります。
この一週間で少しでも私たちは、苦しみがあるこちら側の此の岸から、仏さまの居られるあちら側の、彼の岸へ渡っていかなければならないのですが、日蓮宗のお彼岸は、私たちがいる、こちら側の此岸を仏さまの居られる浄土(彼岸)にしていく事に重点を置きます。なぜなら、私たちが住んでいる世界を良くしていく事こそが、私たちが救われる道であると法華経が説くからです。
さて、日蓮大聖人は『出家功徳御書』に
我身は天よりもふらず 地よりも出でず 父母の肉身を分たる身也 我身を損ずるは父母の身を損ずる也
とお教えになられいます。
今、私達があるのは、父母をはじめご先祖さまのお陰であります。我が身を慈しまないことは、父母・先祖を慈しまない事と同じでもあります。なぜなら、この身は天よりも降らず、地よりも出でたのでもなく、父母の肉身を分かちたる身だからです。
だからこそ、先祖供養を志すには、我が身を仏に近づけていくことが、父母、先祖を仏へと成仏させていく一番最善の供養となります。
父母、先祖が救われるとき、私たちも救われ、私たちが救われるとき、父母、先祖も救われます!
どうぞ、このお彼岸の一週間は、日頃の忙しい毎日を省みて、仏道修行を志し、精進下さいませ。その時、この世界も浄土となり、父母、先祖はもちろんのこと、私たちも含め、すべての生けとし生きるものが救われていくのですから。