代々の信仰の系譜を継いで
三井兵部氏
全国檀信徒協議会常任委員
山梨県4部檀信徒協議会長
甲斐市本妙寺筆頭総代
趣味:盆栽
伝えていきたい信仰の尊さ
『お寺は誰のためにあるの』を活用し
【三井家と本妙寺】
私の菩提寺は、山梨県第4部の甲斐市本妙寺です。家に伝わる記録では、私が三井家の29代目になります。
大昔は甲斐市内にある他宗派のお寺が菩提寺でした。伝承によると、昔のご先祖の葬儀の際に自宅からそのお寺までの途上、強風や大雨に苦しめられたそうです。そのときに通りかかった僧侶が祈祷したところ、風雨が収まったといいます。その僧侶が日蓮宗の僧侶だったことから、三井家は日蓮宗に帰依することになりました。そして家の近くに日蓮宗の寺を創建し、三井山本妙寺として身延山に認められたと聞いております。本妙寺の開創は明応3年(1494)ですから、約530年前のことです。山号が「三井山」ですの、ご先祖さまは開基檀越だったと推測されます。
本妙寺へは自宅から徒歩5分です。私が子どもの頃、当時の住職(第26世日禎上人)が毎日のように家の仏壇でお経を上げ、新聞を読んでから帰って行ったのを覚えています。そんなことで、私はお経には慣れ親しんできましたし、代々の住職とは親戚のような交わりをしてきました。
【総代として】
三井家は代々本妙寺の総代を務めています。父が筆頭総代の時代は、檀家数が約50軒と少なく、寺院運営では苦労が多かったようです。私が総代を務めるようになると甲府市のベッドタウンとして地域が発展し、檀家数が約170軒に増えました。とはいうものの、核家族化が進み、若い世代の家庭での信仰の継承が課題となっています。また仕事や学業で故郷を離れる人も多く、お寺とのつながりが希薄になっています。お寺の種々の催し(お会式・子安さん・七面さん)などに参詣するのは高齢者が多く、若い参加者はあまり見受けられません。お寺の将来には不安が残ります。私は総代として、檀徒の皆さまとお寺との絆を強める努力をしたいと思っています。
【信仰を伝える活動】
昨年全国檀信徒協議会が制作した冊子『お寺は誰のためにあるの』を4月の菩提寺護持会総会で全檀家に配布しました。この冊子は、仏教や日蓮宗の教え、お寺の役割などを、やさしくわかりやすく説明しています。私はこの冊子を読んで、改めて信仰の尊さを学びました。檀徒の皆さんにもこの冊子を読んでいただき、お寺に関心を持っていただければと思っています。
私たちの山梨県第4部管区では、コロナ感染症禍中は別として1泊程度での護法団体参拝を開催したり、組寺単位では身延で輪番奉仕を行っています。いま振り返ってみると、参加者の顔ぶれがいつも変わらないことに気付かされます。檀信徒のみならず、未信徒を含めた多くの人びとを対象に失われた信仰の尊さを思い出していただくように、宗務所の役職員の皆さんとともに、僧侶檀信徒が一体となって行動を起こしていきたいと思っています。