清水 元喜 氏
全国檀信徒協議会常任委員
静岡県西部檀信徒協議会長
掛川市正願寺総代・護持会長
昭和16年7月21日生まれ
趣味:ゴルフ、庭いじり
良い歳のとり方について考える
今年は日蓮聖人降誕800年を目途として、日蓮宗が推進してきた「立正安国・お題目結縁運動」の最終年度となります。この運動は「いのちに合掌」をスローガンとし、「敬いの心で安穏な社会づくり」を目標にした社会性に富んだ宗門運動でした。
この運動期間中、私は菩提寺の静岡県掛川市正願寺の総代・護持会長を務めていました。そのご縁で管区の檀信徒協議会長に推挙され、令和元年から全国檀信徒協議会常任委員という大役を仰せつかることになりました。宗門運動を通じての学びや出会いの中で、たくさんの示唆を得ることができ、ありがたく思っています。
この運動に対し、どれほどのお役に立てたか自信はありませんが、運動を身近に感じながら過ごした15年間は、意義深い期間でした。仏教の真髄ともいえる『法華経』は仏事に唱えるだけではなく、皆が幸せになる社会を築くための方法論であることを知りました。
私は60歳を過ぎたころビジネス中心の都会暮らしから離れ、生まれ故郷の静岡での生活を始めました。当地は緑茶の生産地で、我が家も近所の農家に委託してあった約3千坪の茶園で妻と一緒にお茶の生産を始めました。数年後には地区の農家で構成する茶業組合の長に任命され、年間3万㌔のお茶を生産する工場の経営を任され、2年前に退任しました。地区の自治会や各種親睦団体に加盟し、多くの人たちと交流を図ることができたことはありがたいことでした。
2年前に心臓の手術をしました。約20時間、全身麻酔をかけられ、その内5時間は心臓を切り離し人工心肺に切り替えた手術でした。意識が戻ったときに、主治医から「気分はいかがですか、ここがどこかわかりますか」と声をかけていただいた感動は忘れることができません。おかげで半年後には趣味のゴルフができるようになり、昨年は念願のエイジシュート(年齢以下のスコアーでラウンドすること)を達成するほど元気になれました。
今年日蓮聖人ご降誕800年を記念して刊行された小説『日蓮』を早速読ませていただきました。小説の原題「パッション」の如く熱情に満ち溢れたご生涯が描かれ、数々の法難に遭われる中で、法華経の行者として法華経伝道のためには命に関わる法難にも不退転の意志で立ち向かわれた生き方が印象深く心に残っています。
私は今年傘寿の80歳を迎えます。私の年代は日本の最も困難な時代であった戦中戦後を生き抜き、驚異的な戦後復興、高度成長を成し遂げた自負を持っている人が多くいます。日本は人生100年時代といわれる超高齢社会を迎えております。これからの人生は仏教の説く四苦、「生老病死」の老に相当する時代です。「老」を苦と考えず、世の中に感謝し、恩返しする時間とすることができたらとの思いを抱いています。日蓮聖人の教えを心に刻み、その万分の一でも実行できる、健康で他人に世話をかけない人生でありたいと願っています。