池上幸保氏
日蓮宗全国檀信徒協議会会長
大田区大本山池上本門寺総代
昭和26年8月16日生まれ
趣味:読書、ダンス
新春ご挨拶
明けましておめでとうございます。令和2年の新年にあたり、謹んでお慶び申し上げます。
令和初のお正月を迎えました。悲惨な戦争と驚異的な復興と経済発展を遂げた昭和、世界地図が大きく書き換えられ、また地球規模で環境問題が大きく取り上げられた平成の時代を経て、我が国はそして世界はどのようになっていくのでしょうか。この新しい時代が安穏な世の中であることを心より願っております。
さて、昨今「格差」という言葉をよく耳にします。その内容はほとんどが経済的格差について論じられています。確かに社会生活を営むうえで、経済的な問題は無視することができません。しかしながら、果たして「格差」は経済的な問題だけなのでしょうか。私は「心の格差」も大きな問題だと捉えております。
心の貧しい人が増えたことにより、世の中はぎすぎすしたものになってきているような気がいたします。それは際限なく膨れ上がる欲望を満たすための異常な行動、他者に対する非寛容さなどに表れています。経済的に豊かな人が必ずしも心が豊かであるとは限りません、またその逆のことも言えます。
神仏に見守られているという感覚の欠如が、心の豊かさを失ってしまった人びとを生み出している大きな原因の1つではないでしょうか。朝な夕なにお仏壇や神棚に手を合わせる祖父母や両親の姿を見ながら育つ子が少なくなってきています。ほとんどの核家族の家庭にはお仏壇や神棚がありません。
宗祖の願いである安穏な社会の実現には信仰の継承は欠かせません。お題目に生かされ、神仏やご先祖さまに見守られているということを実感し、そのことを身近な人に伝え、豊かな心を持った人を増やすことが大切です。
新しい時代が「心の格差」が是正され、人々が安穏に暮らせる時代となるよう、檀信徒が力を合わせて活動してまいりましょう。
本年も全国檀信徒協議会では、教区・管区の檀信徒協議会と連携し、宗門の応援団として信仰の継承に取り組んでいきたいと考えております。引き続き皆さまのご協力をお願い申し上げます。
末筆になりましたが、今年1年の皆様のご健康とご多幸をお祈りし新年のご挨拶とさせていただきます。
南無妙法蓮華経