東京都荒川区には、伝統工芸技術分野の区無形文化財である鋳造の職人が多く在住し、菓子満氏(区指定無形文化財)や松本隆一氏(区登録無形文化財)等が工房を構える西日暮里六丁目(冠新道沿い)は、明治後半から昭和戦前期にかけ、美術鋳造の第一線を担う工房が数多く集まったことで知られています。鋳造の中でも銅像や置物を手掛ける分野は、美術鋳造と呼ばれ、あまたの銅像が日暮里で鋳造され、全国各地に設置されていきました。
本展示では、日暮里の美術鋳造の担い手に焦点を当て、日暮里で手がけられた銅像・置物、関連写真・文字資料などを通じ、鋳造工場の歴史や役割について紹介されます。
当山も、この度の本企画展開催にあたり、荒川区の取材・調査に協力しております。要傳寺本堂の本尊「銅造釈迦牟尼仏世尊坐像」は、第38世要中院日妙上人(髙森聖一師)の発願で、インド人彫刻家のUpendra Maharathi(ウペンドラ=マハラティ)氏が原型を製作し、これをもとに彫塑家の阿部正基氏が塑像を謹製、鋳金家の菓子満氏・堀川次男氏の両氏のご協力により鋳造されたもので、昭和47年(1972)4月8日、新本堂落成にあわせて開眼供養されました。
詳細はコチラの記事、ならびに髙森聖一著『仏跡を巡りて』51頁(昭和53年発刊)、寺報『法住』41号(平成30年発行)等をご参照下さい。
記
催事名:令和6年度荒川ふるさと文化館企画展「鋳造のまち日暮里―銅像の近代―」
会期:令和6(2024)年10月26日(土)~12月1日(日)
毎週月曜日および11月5・11日は休館(ただし11月4日は振替休日のため開館)
会場:荒川ふるさと文化館
東京都荒川区南千住6-63-1(南千住図書館併設)
なお、関連事業として以下のイベントも予定されております。
◆記念講演会「日暮里から旅立った騎馬像」
日時:11月9日(土)午後1時30分~4時
会場:荒川ふるさと文化館地下1階視聴覚室
定員:各70名(10月22日受付開始・申込み順)
会費:無料
講師:渋谷区立松濤美術館学芸員・野城今日子氏
◆あらわ座(鋳造の技術と作品の解説)&上映会「伝統に生きる~鋳造 堀川次男~」
日時:11月10日(日)午後1時30分~3時
会場:荒川ふるさと文化館1階あらかわ伝統工芸ギャラリー
定員:各20名(10月22日受付開始・申込み順)
会費:無料
講師:荒川伝統工芸技術保存会会員・松本育祥氏
◆上映会「伝統に生きる~鋳造 菓子満」&展示解説
日時:11月30日(土)午後1時30分~3時
会場:荒川ふるさと文化館1階企画展示室 ※申込不要
入館料:100円
◆展示解説
日時:10月26日(土)午後1時30分~2時10分
会場:荒川ふるさと文化館1階企画展示室 ※申込不要
入館料:100円
◆あらかわ銅像散歩&工房見学
日時:12月1日(日)午後1時30分~3時30分
会場:日暮里エリア及び堀川鋳金所
定員:10人(10月22日受付開始・申込順)
◆あらかわの伝統工芸~金工・諸工芸~
会期:令和6年10月11日(金)~令和7年3月12日(水)
会場:荒川ふるさと文化館1階あらかわ伝統工芸ギャラリー
休館日:毎週月曜日(祝日、振替休日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日~1月4日)、毎月第2木曜日(11月7日・12月12日・2月13日)
展示内容:金工(金切鋏、裁鋏、鋳造、鍛金、鋳金、彫金)、諸工芸(衣裳着人形、木版画摺、提灯文字、地口絵)