🆕今日学研究会公開講座

開催日:2026年03月02日

 当山住職は、下記の通り、今日学(こんにちがく)研究会主催の公開講座で講演を致します。
 日蓮聖人『報恩抄』撰述七五〇年を迎え、聖人の「報恩の生涯」をふりかえりつつ、師恩報酬に軸足を置いた『報恩抄』撰述の意義を講じます。
 『報恩抄』は日蓮聖人にとっての最も奥深い法門を披瀝した究極的な「秘奥の書」でした。『立正安国論』『諫暁八幡抄』『下山御消息』『滝泉寺申状』など一部の例外を除き、日蓮遺文の多くは特定の門弟を対告として執筆されたものになりますが、『報恩抄』の存在価値は数多くある遺文の中でもとりわけ別格です。それは、かつての恩師や清澄寺の法兄らに対して充てられたものだったからです。そこには、立教開宗以前からの「日蓮」を知っている相手、それも幼少期から教えを授かった師僧らに向けて、自らが歩んできた道のり、悩み苦しみ困難と取っ組み合いながら到達した深い境涯を、すべて包み隠さずに奉告する意図がありました。よって本抄の特異性は、他の遺文・書状とは比べものになりません。
 また、そこに説かれた法門は、他の門弟の目に触れないことを前提として説示されたものでもあります。従って、師や兄弟子との間で交わされた話題や、彼らにしか解らない深密の教法が示されている可能性が高いのです。のちに「三大秘法」と呼ばれる法門が、『観心本尊抄』『法華行者値難事』『法華取要抄』等を経て、『報恩抄』においてより具体的に示されている理由がなぜかを考えてみるだけでも、本抄の重要性は明らかです。『報恩抄』は、日蓮聖人の宗教の到達点を恩師らに報告すべく執筆された日蓮聖人の法門の集大成の秘書と言っても過言ではないのです。
 そうした観点に立てば、他の遺文と同列に扱ってはいけない内容が、本抄には秘匿されていると見るべきだと考えております。今回の公開講座では、その理由をひとつひとつ掘り下げて確認し、日蓮聖人が恩師道善房に手向けた一大秘法「南無妙法蓮華経」の意義について、語りたいと思います。

  記
講題:「法華菩薩道総集編『報恩抄』~日蓮聖人「報恩」の生涯~」
日時:令和8年(2026)3月2日(火)午後2時
場所:姫路商工会議所(兵庫県姫路市)
主催:今日学研究会(代表:三好一行師)
*なお、本講座の過去の講演内容については、以下の通り。
「法華菩薩道の実践~『雨ニモマケズ』幻の“行ッテ”~」」(令和6年3月5日)
「法華菩薩道の実践~摂受の菩薩、折伏の題目~」(令和7年3月4日)

講演会場から望む雨の白鷺城

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