先日、本州から毎年来てくださる方が、先日ご祈祷を受けに来てくれました。
その方が言うんです。
前の日に虎杖浜の温泉に泊まってきたんですよ。実は温泉が大好きでして、と。
私はそこまで温泉好きではないんですが……確かに入ると気持ちが良くて思わず声が出ちゃいますよね。
あぁ~極楽極楽~。
でもここで日蓮宗的には要注意なんです。
実は“極楽”っていうのは阿弥陀仏の浄土。西の彼方、ずーっと遠くにある場所なんです。
私たちが目指すのはそこではありません。お釈迦さまが法華経を説かれた霊鷲山。そこで開ける霊山浄土こそが本当の安らぎなんです。
ですから、本当なら温泉に浸かって言うべきは――
あぁ~霊山霊山~!
……どうですか?しっくり来ません…か?
ただし口に出すと、隣のおじさんに“この人どこの山から来たんだろう?”と怪しまれますので、心の中でそっと呟くのがオススメです。
極楽は「旅先の温泉」みたいなもの。遠くまで行かないと辿り着けないイメージ。
霊山浄土は「地元の温泉」。遠くまで行かなくても、今この瞬間、心が澄んだ時にそこに湧き出る。
つまり、温泉で“極楽”を味わうのもいいですが、日常の中で“霊山”を味わえる人こそ、ほんとうに豊かな人生を歩んでいる人だと思います。
結局のところ――
温泉は体を温め、霊山は心を温める。
体も心もぬくもった時、すでにその人は仏さまの世界に足を踏み入れているのです。
極楽は遠くに探すもの。霊山は今ここに湧き出づるもの。
そんな風に受け止めていただければ幸いです。合掌


