先日、本堂の屋根からスズメバチの巣が落ちてきました。
幸い、参拝している方がいなかったので大事には至りませんでしたが、もしタイミングが少しずれていたら……と思うと、背筋がぞっとしました。
蜂たちは、決して悪さをしようとしたわけではありません。
ただ雨風をしのげる、安全そうな場所を見つけて、懸命に巣を作っていただけです。
でも、その「安全なはずの場所」も、突然崩れ、巣ごと落ちてしまった──。
実はこれ、私たちの暮らしと同じです。
「この家があるから大丈夫」「この仕事があるから安心」──そんなふうに思っていても、世の中はいつ何が起きるかわかりません。
お経の中には「三界は安きこと無し」という言葉があります。
この世界には“絶対の安心”なんてどこにもないんだ、という教えです。
でも、だからこそ気づけることがあります。
それは、「当たり前だと思っている日常こそが“有り難い”ものだ」ということです。
“有り難い”というのは、“有ることが難しい”と書きます。
家族が元気でいることも、参拝が何事もなく終わることも、今日一日を無事に過ごせることも──本当は簡単じゃない。
偶然が重なり、縁がつながって、ようやくそこにあるんです。
蜂の巣が落ちた出来事は、そんな「有り難さ」をもう一度思い出させてくれました。
「三界は安きこと無し」。だからこそ、今日を大切に、今日を感謝して生きていきましょう。
「当たり前の反対は“有り難い”。
だから今日も、“有り難う”を心から。」


