「なんみょーさん、あん」25’8

足るを知る者は 富めり

先月、中学校で『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』という絵本を生徒に読み聞かせしました。南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領の国連でのスピーチが語られています。 「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人のことではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」 ムヒカ元大統領は「本当の豊かさとは何か?」を世界の人々に問いかけました。 仏教では、「知足(ちそく)」足るを知ることを、人生を豊かにする大切な智慧として説いています。『法華経』の中には「小欲知足」と説かれています。欲を少なく満足する事を知る、という意味です。仏教は「欲を滅して、無くしていく」という教えだと思っている方は多いのではないでしょうか? しかし、みなさんが欲を無くしてしまったら経済は回りませんし、人の為に行動する!という欲も否定する事になってしまいます。何か無気力な世捨て人が沢山出来てしまうイメージですね。仏教の伝えたい事は「欲のコントロール」です。「欲を滅する」と使われますが、この「滅」の原語は「ニローダ」と言います。これは「制御する」「コントロールする」といった意味があります。 つまり欲には“良い欲”と“悪い欲”があり、なるべく良い方向へコントロールしてあげる事が大切になります。 少欲知足を正しく解釈すれば 「悪い欲を少なくし良い方向に向ける事で、ココロが満たされる事を知る」となります もっと欲しい、まだ足りない、と求め続けていると、心は常に飢えたままです。どれだけ手にしても、満たされないのです。 反対に、「いま、ここにある命」「今日いただけるご飯」「誰かがいてくれる安心」…。こうした当たり前のこと、現状に感謝できる心が「知足」です。 『涅槃経』には、こうあります。 「知足を以て第一の富と為す」 足るを知る者は、何も持たずとも心が豊か。 足るを知らない者は、どれほどの富を積んでも、心が貧しいということです。 どうぞ皆さん、お題目「南無妙法蓮華経」を口にするとき、「今あるものに感謝する」そんな心持ちで唱えてみてください。 仏さまの智慧が、あなたの心をそっと満たしてくれることでしょう。

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