客は言います。現世(げんせ)の安穏(あんのん)、後生(ごしょう)の成仏を願って、
誰が慎(つつし)まない者がありましょうか。誰が恐れない者がありましょうか。
今ここに示された経文によって具体的に仏の御言葉を承(うけたまわ)りますと、
仏を謗(そし)り、経を謗(そし)った謗法(ほうぼう)の罪がいかに重く深いものであるかを知ることができました。
私が阿弥陀仏だけを信じて他の仏をなげうち、浄土三部経だけを仰(あお)いで諸経を捨てたのは、
私一個人の考えではなく、浄土宗の先師の言葉に随ったまでであります。
おそらく世の中のすべての人びともそうでありましょう。
現世ではいたずらに心を痛め、来世には無間地獄(むけんじごく)に堕(お)ちるということは、
経文とその道理から明らかであり、疑う余地はまったくありません。
今後とも貴僧の慈悲あふれる教えを仰いで、私の愚(おろ)かな迷いの心を晴らし、
すみやかに謗法の者を根絶し、一日も早く平和を招き、まず今生を安穏に、
そして後に未来の成仏を祈りましょう。
ただ私一人が信ずるだけでなく、他の人びとの誤りをただすことに努めたいと思います。