だんしんきょう 令和6年 8月号

開催日:2024年08月01日

「宗徒のつどい」で話したこと

内芝武氏
近畿教区檀信徒協議会副会長
和歌山県檀信徒協議会長
海南市妙覚寺総代・護持会長
趣味:カラオケ

一生懸命に「唱題」「仕事」「奉仕」
「いのちに合掌」でよき縁をつなごう

 約50年前、私が日蓮宗の信仰を始めた頃のことです。友人から「日蓮宗は他宗より優れているといいますが、どう違うのですか?」と問われ、答えられなかったことがありました。
 「なぜ日蓮宗なのか。なぜ法華経でなければならないのか」と多くの僧侶に尋ねましたが、納得のいく答えは得られませんでした。しかし、心に残る言葉がありました。「信心とは、一生懸命にお題目を唱え、一生懸命に仕事をし、そしてお寺に奉仕することです。それが善い功徳になるのです」。完全には納得できませんでしたが、その言葉を心に留めて生きてきました。
 その後、日蓮宗の僧侶だけでなく、さまざまな立場の人の話を聞く機会があり、多くの本を読みました。そして、知ったことや感じたことが徐々に1つにまとまり、心に留めていた言葉の意味を深く理解するようになりました。
 法華経の方便品には十如是がありますが、この世はすべて因縁果の法則によって動いているということです。つまり、すべての事象には原因があり、それに応じた結果が生じるということです。また、寿量品では、私たちの中に仏さまがおられることが説かれています。つまり、仏さまが私たちという衣を着てここにいると私は解釈しました。私たちの中にあるのは、宇宙の根本である「いのち」の仏さまです。私たちの行いはすべて、この仏さまに記録されていきます。
 「私たちの心の中には仏さまがおられる」ということであれば、仏になる修行は必要ないと思うかもしれません。しかしお釈迦さまは「私は最初から仏乗しか教えていない」と仰っています。お釈迦さまは最初から私たちを仏の子と見なしていますが、私たちは仏の心を呼び覚ます方法を知らないのです。
 末法の時代に仏になれない人びとを見かねて、日蓮聖人は「私たちの内にいる仏さまをお題目によって呼び覚ましなさい」と教えてくれました。ここに至って、最初に聞いた「一生懸命にお題目を唱える」というのは、私たちの中にある「仏さま」を呼び覚ます方法だと気づきました。そして、その結果として「一生懸命に仕事をする」ことになります。そこで得た幸せは、気づきを与えてくれた「お釈迦さま・日蓮聖人・お寺に奉仕する」という恩返しで、「よい功徳」になるのです。すべてのことが理解できました。長い時間がかかりましたが、やっと宿題の答えにたどり着いたと感じています。
 日蓮宗が現在掲げる「いのちに合掌」は、いのちといのちの繋がりを説く素晴らしい言葉だと思います。この旗印の下、皆でよい縁を広げ、善い世の中を築いていきましょう。

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