だんしんきょう 令和6年 6月号

開催日:2024年06月01日

お2人の法主さまの謦咳に接して

森英介氏
全国檀信徒協議会常任委員
全国千葉県南部檀信徒協議会会長
勝浦市本壽寺名誉総代
法華一乗会会長
衆議院議員
趣味:読書、音楽、料理

 第52代・第53代の管長をお務めになられた総本山身延山久遠寺第92世法主の内野日総猊下が1月21日にご遷化されました。私は、1月24日に身延山久遠寺で営まれた密葬儀に法華一乗会を代表して参列させていただきました。
 法華一乗会というのは、日蓮宗の檀信徒である自民党国会議員の集団(議員連盟)であり、現在は私が会長を務めております。宗門の諸行事に参加したり、折々、誘い合って身延に参詣したり、千葉県大本山中山法華経寺加行所を参拝したり、また定期的に宗務院の内局と懇親をさせていただいたりといった活動をしております。
 その一環で、当会のメンバーは、幾度となく内野上人の謦咳に接する機会に恵まれました。上人のお話は、いつも、実に率直で、明快で、慈しみ深く、私どもは等しく崇敬の念を抱いておりました。
 世寿99。ご霊前に佇んで、私は、深い哀惜の念と共に、まさに「巨星墜つ」という感慨に捉われました。長きにわたる宗門に対するご功績と私ども檀信徒に対するご温情に深く感謝を捧げ、増円妙道をお祈り申し上げる次第です。
 なお、この密葬儀に参列して、私はもう1つ強い印象を受けたことがあります。この法要の導師を務められた身延山久遠寺総務の持田日勇猊下は、実は私の地元の千葉県茂原市にある本山・東身延藻原寺の貫首であり、そんな関係で、私自身は藻原寺の檀家ではないものの、持田貫首には、日頃から親しくご指導いただき、大変お世話にもなってきました。
 昨年米寿を迎えられた持田貫首は、人一倍お元気な人でしたが、ここ数年来、体調を崩され、何度か重篤な状態にもなられました。しかし、猊下は、そのような状況になっても、全く怯むことなく敢然と病魔と闘い、その都度、見事に復活されたのです。
 直近では、ちょうど1年前に喉頭癌を摘出するという大手術を受け、声が出なくなってしまいました。それでも、ほどなく久遠寺の総務の重任に復帰されたとお聞きし、驚きを禁じ得ませんでした。
 そして、このたびの密葬儀で持田貫首のお姿を目の当りにしました。声がお出にならないので、読経は、副導師の僧侶が代わっていましたが、病み上がりとは思えないほど、終始泰然と導師の大役をお務めになりました。私は、持田貫首の使命感と気迫に、深い感銘を受けたのです。幾たびも大病を乗り越えて、重責を果たしていらっしゃる持田貫首のお姿は、私たち周囲の者たちにも勇気と希望を与えて下さいます。
 今般、故内野日総猊下の後任として身延山久遠寺第93世法主に持田猊下が就任されました。2月3日に茂原の藻原寺でとり行われた節分会の清宴において、持田貫首の留守を守る僧侶や檀家の皆さんと共に持田法主さまのご誕生を喜び合えたのは忘れ得ぬ出来事です。
 このように、お2人の法主さまの謦咳に接することができたことは、私の人生の中でこの上ない幸せです。これからも両法主猊下の教えを胸に刻み、法華経信仰を深めるよう努めてまいりたいと思います。
合掌。

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