だんしんきょう 令和6年 3月号

開催日:2024年03月01日

「いのちに合掌」に基づく支援を

奥田智一氏
全国檀信徒協議会副会長
中部教区檀信徒協議会長
愛知県名古屋檀信徒協議会長
名古屋市妙傳寺信徒総代
身延山名古屋本願人会副会長
趣味:神社仏閣巡り

助け合い、支え合う世界を築きましょう

 今年の元日、菩提寺の名古屋市妙傳寺の年頭会で、この1年が平穏無事に過ごせますよう、世界平和が一刻も早く訪れますようにと、お参りしました。その日の夕方、スマホがけたたましく鳴り、テレビが緊急地震速報を流した途端、激しい揺れに襲われました。能登半島地震が発生したのです。
 日を追うごとに、悲惨な状況が伝えられてきました。震度7、津波、山崩れ、家屋の倒壊、ずたずたになった道路、液状化現象、輪島朝市の火事、インフラの破壊などで、多くの人が犠牲となりました。殉難者には、心よりのご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された皆さんには、心からお見舞い申し上げます。1日も早く平穏な日常が戻りますようお祈りいたします。
 一刻も早く住民の皆さんが安穏な暮らしに戻れるよう、応援しなければなりません。現在、全国の日蓮宗寺院では支援金勧募に奔走しています。全国檀信徒協議会としても常任委員会の承認を得て、現地で何を必要にしているかを見極め、援助を開始します。
 今回は特に能登の寺院と檀信徒が甚大な被害を受けました。被災された人はきっと数珠も仏壇もない状況だと推察されます。困っている人に手を差し伸べることは当然のことと考えています。さらには突然、死に直面された人たちの魂の鎮魂をせねばなりません。魂に引導を告げ、早く成仏できるように努めなくてはなりません。「いのちに合掌」を標榜する私たちだからこそできる、支援を考えていきたいと思います。
 能登半島地震から2ヵ月が経過し、復旧復興が進んでいる部分もあるようですが、今も避難所生活を強いられている住民の皆さんには継続的な支援が必要です。復興には人手も必要です。間接的な行動としては、能登の産物を購入することも助けになります。被災された人たちのために、心から祈ることも大切です。
 日本は地震国ですから、いつどこで大地震が起きてもおかしくはありません。南海トラフの巨大地震は、近い将来発生する可能性が高いと言われています。防災の基本は、もしもの時の備えることです。能登半島地震から教訓を得ることが大切です。私事ですが、地域の自治会長を務めている関係で、万が一に備えて消防署と連携し、避難訓練・消火訓練をしたり、避難先での寝床を段ボールや簡易トイレを作ったりもしました。昨年末には、万が一大地震が起きた際に安否確認を知らせるプレートを玄関外側のドアノブにかけましょうと訴え、町内に配布したところです。いのちに合掌とは授かった命を大切にすることでもあります。いつ襲ってくるかわからない自然災害に対する備えを万全にしたいものです。助け合い支え合いながら住みよい世の中をみんなで築いていきましょう。

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