神山喜久夫氏
全国檀信徒協議会常任委委員
北海道教区檀信徒協議会長
北海道北部管区檀信徒協議会長
旭川市妙法寺総代
趣味:ゴルフ、絵画
お釈迦さまの理想の世界に
令和の時代も、早5年目を迎えました。
そのなかで、コロナ禍の感染拡大などで、世界中が重大な厄災に脅かされることになり、さらにはロシアがウクライナに対して、今日では考えられない戦争を引き起こし、両国で数え切れないほどの尊い命が失われています。1日も早い終戦を祈っています。
日蓮宗では平成19年から日蓮聖人降誕800年を目途に、「立正安国・お題目結縁運動」を4期に分けて展開してきました。第1期「播種活動」、第2期「育成活動」、第3期「開花活動」までは順調に進みました。全国の教区・管区や各々の寺院で、総会、研修会、信行会、命のシンポジウムなどを開催し、充実した信行活動を進めてきました。
そして第4期「結実活動」を迎え、最終的に「結実の思い」を心法に深く実感できることを楽しみしていたときに、起きたコロナ禍。収まってはまた次の波がくる感染拡大により、計画されていた諸行事が次々と延期や中止を余儀なくされました。とくに800年事業の降誕記念の法要が縮小となったことは残念でなりませんでした。
しかしながら、第1期からの活動の成果をみますと、15年間の活動の結実は、檀信徒の皆さまの心身に、深く尊く刻まれたことと思います。
活動のスローガンでもあった「いのちに合掌」を通して、訴え続けた「いのち」の絶対尊重。そしていのちといのちがお互いが拝み合う「但行礼拝」の精神を育むことで、社会を明るくする一石を投じることができたものと確信しています。この活動で世界を変えていくことが祖願であり、私たち日蓮宗徒の大事な務めでしょう。
15年間の活動の中で、僧侶のから聴いた講話は、重みのある大切なことばかりでした。あらためて、「家族や周りの人たちとの幸せな生活が営めること」や「安穏な暮らし」ができることへの感謝を学びました。また「仏の心とは」であるとか、日々の生活のなかで大切にしなくてはならない「慈・悲・喜・捨」の心を学ばせていただきました。
さて現代社会に目を向けますと、眼を覆いたくなるような事件が散見されます。人命が軽んじられる世相を垣間見るたび、世の中の人の内心に深い迷いがあるのかもしれないと感じます。「立正安国・お題目結縁運動」は円成しましたが、この運動の理念だった「いのちに合掌」や「但行礼拝」を引き続きもっともっと多くの人たちに理解いただけるように努めなくてはならないと思います。安穏な社会、すべての人が笑顔で暮らせる社会になりますよう、日蓮宗の僧侶檀信徒一体になって精進していかなくてはならないと思います。