日蓮宗全国檀信徒協議会
会長 池上幸保 氏
新春ご挨拶
明けましておめでとうございます。令和三年の新年にあたり、謹んでお慶び申し上げます。
令和二年春から始まった新型コロナウィルスの感染拡大は驚異的な速さで世界中に広まり、私たちの生活を一変させました。信仰生活も例外ではありません。お寺の行事も制限され、信仰を共にする方々との交流も難しくなりました。目に見えない敵との闘いは当分続きそうです。
地震や台風などの自然災害や疫病の蔓延に遭ったとき、科学技術が発達したとはいえ、人間の力が如何に弱いものであるか思い知らされます。現代でさえそうなのですから、大聖人ご在世当時に人々を襲った自然災害や疫病の恐怖は想像を絶するものがあります。
今回のコロナ禍は、天をも恐れぬ人類の傲慢さに対する警鐘であると捉えることができないでしょうか。人間の営みの中で地球の温暖化が進み、自然環境は破壊されバランスが崩れつつあります。このような状況の中で、エネルギー問題を含め、自然対策は大きな課題となっています。また、国際情勢だけでなく、国内の経済活動や社会活動を見ると、自分だけが良ければいいという考え方が強くなってきているような気がします。そのことが情報の隠ぺいや、身勝手な行動を引き起こしています。これらのことが感染拡大の一つの要因となったのではないでしょうか。
このような時にこそ、他人を敬い「共栄」の心をもって行動し、安穏な社会づくりを目指すことが求められるのだと思います。そして私はそのことが祖願であると認識いたしております。大聖人ご降誕八百年の年頭に当たり、気持ちを新たにいたしたく存じます。
私たち檀信徒の経済活動、社会活動、家庭生活はもとより、菩提寺を始めとした寺院の活動も変革を余儀なくされています。しかし、嘆いてばかりでは前に進みません。現実を直視し、前例主義を排し、改革をためらわず、お題目の力に支えられながら前に進みましょう。
コロナ禍の中で、私たちの活動も何かと制限されることは否めませんが、何らかの形で終息した後のことを考えなければなりません。ご降誕八百年を迎えることは喜ばしいことですが、これは大きな通過点であって、終着点ではありません。次の世代に正しい信仰を伝え、菩提寺を護持し、宗門を支える一翼となるべく、本年も全国檀信徒協議会では、教区・管区の檀信徒協議会と緊密に連携し、宗門の応援団としての役目を果たすべく、活動の活性化に取り組んでいきたいと考えております。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
末筆になりましたが、今年一年の皆様のご健康とご多幸をお祈りし新年のご挨拶とさせていただきます。
南無妙法蓮華経
だんしんきょう 令和3年 1月号
開催日:2021年01月01日