山内 雄三郎
北海道南部檀信徒協議会副会長
北斗市法亀寺総代
昭和18年7月30日生まれ
趣味:カメラ、魚つり
私は北海道南部の小さな漁村で生を受け、幼い頃から神社仏閣にとても興味を持つ子どもでした。親がお寺の総代を務めていた関係か、よく親に連れられてお寺に足を運びました。ある日、お寺の住職から「お寺の小僧にならないか?」と声を掛けられびっくりしました。
この話は、親が以前から住職と話を進めていたようです。時がたって小学校5年生の夏休みにお寺に行った時に、いきなり住職にお経本を見せられた時もびっくりしました。その時、お坊さんになるにはたいへんなことを学ばなければならないんだと思い、お坊さんになることを諦めました。その後、普通の社会人になり、縁あって同じ日蓮宗の檀家の人と結婚しました。これもご縁だと思っています。
それから歳月が流れたある日、義母に頼まれてお寺の行事の手伝いに行ったところ、今度は「役員になってくれないか」と頼まれました。私は二つ返事で役員を引き受けることを決めました。菩提寺にはご先祖さまが葬られているからです。
今年もまた、暑い夏とともにお盆月が参ります。都会ではお盆は7月だと思いますが、大半の地方では8月盆になります。各家庭でご先祖さまの精霊を自宅に迎え、故人の霊を慰め、懐かしむひと時です。遠方に嫁いだ人、都会で働いている子どもや孫たちが生家に帰り、先祖や故人を偲び供養をします。古来の習慣として精霊棚にキュウリでかたどった馬を飾ります。これは足の速い馬に乗って少しでも早く精霊たちが我が家へたどり着くように、という意味です。そして13日夕には迎え火を焚きます。子や孫とともに家内安全や幸せを願って過ごした精霊たちは、喜びと満足を得て、16日夕に送り火の中、今度は少しでもゆっくり帰れるようにと、足の遅い牛をかたどったナスビの牛に乗って霊山浄土に帰ります。
このようにご先祖さまを家族や親族が揃ってお迎えする。お盆は現世を生きる家族や親族が愛と理解と絆を確認し合える貴重な時間であり、家の信仰の原点になる大事な行事なのだと思います。こういった日本古来の美しい良習慣を次世代へと引き継いでいくことが、とても大切なことではないでしょうか。日蓮聖人のお言葉に「六道四生の一切衆生は皆父母なり。孝養おへざりしかば仏にならせ給はず」(『法蓮鈔』)があります。「この世の一切の生物は皆、自分の父母である」と述べられているのです。親やご先祖さまに孝養を尽くすのは日蓮宗徒の大事な務めなのです。
現在、日蓮宗では「立正安国・お題目結縁運動」を展開中です。この運動では、誰もが安心して暮らすことのできる社会の実現を目指しています。そんな社会を築くベースになるのが日蓮聖人の教えなのです。日蓮宗のさまざまな行事に積極的に参加してこの運動を盛り上げていきましょう。また菩提寺においては、檀信徒同士で協力し合ってお寺を護っていきましょう。