だんしんきょう 平成31年 3月号

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開催日:2019年03月01日

奥田智一 氏
全国檀信徒協議会常任委員
愛知県名古屋檀信徒協議会会長
名古屋市妙傳寺世話人代表
昭和19年1月1日生まれ
趣味 仏閣巡り

 

全国檀信徒協議会常任委員のお役を頂戴してから、任期4年の満了日が迫って参りました。宗門の応援団として、宗門の目指す目標を、教区、管区の檀信徒のみなさまに十分、お伝えできたかなと自問自答し、反省しているところです。
日蓮聖人降誕八百年が2年後に近づいて参りました。教区での記念大会はもとより、これからは管区や各ご寺院の記念行事が予定されていると伺っております。記念行事を通じて檀信徒1人ひとりの信仰がより堅固になっていくものと信じています。日蓮宗宗徒として、これらの行事に参加することが大切です。宗務所の主催される行事や菩提寺の行事には是非とも参加されますよう、切望いたします。できれば、何かお手伝いをしていただくと、更に充実した時を過ごせるのではと思います。
最近、ふと、思い出すことがあります。檀信徒のみなさまは、毎朝のお給仕に始まり、読経、唱題をされておられると思います。朝、お目覚めになられた時に、ああ、今日も命がいただけた、ありがたい、精一杯生きよう、1日を有意義に過ごそうとお思いになりませんか。
会社勤めの時に、朝、目が覚めないで命の終焉を迎えた部下が2人もいました。1人は心筋梗塞、もう1人はくも膜下出血でした。目が覚めるのが当たり前と思われるのは当然ですが、時には覚めないことがあるのです。今日も命があるぞというありがたい気持でのお給仕は、今日もさせていただけるという喜びに変わり、読経する時には精神が統一され、お題目をお唱えする声には力がみなぎってくることでしょう。宗門では但行礼拝の心を、合掌する姿を通して広めようとしています。誰にでも備わっている仏さまになれる仏種に合掌し、相手を敬う姿を合掌という形で表そうとしています。本来、日本人は感謝を表す時に自然と合掌してきました。
合掌を日常生活にも取り入れる1つの方法として、挨拶する時には合掌の姿でされると良いと思います。お寺さんに挨拶する時は意外と簡単にできる筈です。お寺さんは必ず合掌の姿でご挨拶されますから。合掌する習慣が身につけば、但行礼拝の仏性にも手を合わせられると思いますが、いかがでしょうか。
宮沢賢治の雨ニモ負ケズという詩があります。この詩を読むたびに、思うことがあります。人は生きてゆくのに、先ず自分のことを優先しますが、それではいけないのです。自分のことはさておいて、相手が先、相手を優先する生き方をしなくてはいけないと教えています。スーパーボランティア・尾畠春夫さんは命のともし火がまさに消えようとしていた2歳になったばかりの男の子を救い出しました。男児をお母さんに手渡したとき、諦めていたわが子を抱いた母の姿は感極まっていて、今も忘れられないといいます。家の人が風呂でも、食事でもの申し出を丁寧にお断りしていたそうです。見返りを決して求めない姿勢に感服の至りです。
信仰の継承はおじいちゃん、おばあちゃんから子供に、子供から孫にと受け継がれるのが理想です。そこで、是非とも有効に使っていただきたい小冊子ができあがりました。全国檀信徒協議会が発行していた小冊子「合掌」はこれから絵本に替わりました。信仰の継承という観点からも小さなお子さまに馴染んでいただこうと絵本の「合掌」ができあがりましたから、大いにご活用いただきたいと存じます。従来の合掌は一部100円でしたが、絵本はカラー印刷なので、一部200円となっております。教区、管区、菩提寺での行事に是非ともご活用いただきたく、お願い申し上げます。
おじいちゃんやおばあさんは可愛いお孫さんに見せて、一緒になって、お読みいただければ、虐待死してゆく、小さな命も救えるかもしれません。

 

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