だんしんきょう 平成30年 8月号

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開催日:2018年08月01日

小銭敏男 氏
全国檀信徒協議会常任委員
岡山県護持会連合会長
岡山市呑海寺総代
昭和21年2月4日生まれ
趣味:ゴルフ、旅行、スポーツ鑑賞、野菜作り

 私の菩提寺は岡山市の南西部に位置する呑海寺です。緑豊かな地域で、昭和50年代までは備前畳の生産の中心を担っていました。家内工業による製造が主ですので、おのずと地域に密着した「共同連携」の生活様式が定着します。お寺との関係も例外なく相互扶助による1つのファミリーのような形態がありました。
 時代の流れで、畳の生産製造が激減し、もう1つの主力産業だった米農家も減反政策などの影響を受けて衰退。農地が宅地化され家族構成も分散化を余儀なくされ、サラリーマン化が進展しました。このような生活様式の変化は、お寺を取り巻く環境にも影響を与え、年々関係が希薄化する傾向が現れてきました。
 このようなことを憂慮し、従前の菩提寺と檀家の寄り添った関係を少しでも取り戻すべく、さまざまな模索を行っています。その一環として、お寺と檀家が一体となっての地域の活性化を目指す奉仕活動などを、お寺の年間スケジュールに合わせて計画しています。そのうちの1つがお正月用のお飾り作りです。地域柄、農地がありますので、その一部に植え付けた稲を8月初旬に檀家の有志多数による青田刈りを共同作業で行います。天日干し、さらにその稲藁を農家の納屋に眠っていた古い平型の乾燥機で約3日間、昼夜をかけて熱風乾燥させてできあがった青々とした稲藁を手作業でふるって整形し、お飾り用の原料を確保します。
 昔からお飾り作りは、各家独特の様式がありましたが、「呑海寺様式」を統一させるため、有志が専門家から技術指導を受けました。それをベースに女性部が主体になって飾りなどの工夫に取り組みました。このお飾りは本堂で住職に祈願と読経をしてもらい開眼して完成させます。
 これをお講の時に参拝者に安価で販売します。さらに農家の皆さんから提供していただいた地産の新鮮な野菜類・お米・豆、それから工夫をこらした漬け物などの手作りの加工品、時期に収穫された果実をお寺の境内で販売。参拝者に好評を博しています。評判が人伝えに広がり、年々来場者が増加しています。
 このようなみんなで一緒になった寺の奉仕活動を通じて、寺との関係を深め、輪の拡大に取り組んでいます。共同作業する皆さまの顔はいきいきとして満足感ではじけています。今後も継続発展を目指していきたいと思います。

※この記事の原稿は5月30日に頂いたものです。

 7月上旬に西日本を中心に豪雨が発生し、岡山県管区も甚大な被害を被りました。呑海寺では裏山が崩れ、土砂が物置に流入する被害を受けました。建物自体は無事でしたが、中の荷物が泥まみれになってダメになったようです。7月14日に檀信徒有志が集まって後片付けを手伝いましたが、猛暑の中での作業はなかなかはかどりませんでした。そのため22日に再度、檀信徒が奉仕作業に向かう予定となっています。管内ではもっと大きな被害を受けた寺院や檀信徒がいることを思うと心が痛みます。尊いいのちを失われた方のご冥福を祈るとともに、被災地の早期復興に努めてまいります。合掌 7月18日 小銭 敏男

 

 

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