新春ご挨拶
日蓮宗全国檀信徒協議会 会長 池上幸保
明けましておめでとうございます。平成29年の新年にあたり、謹んでお慶び申し上げます。
愈々本年から、平成33年まで国内11教区、海外2布教拠点で開催される宗祖降誕八百記念大会が始まります。そのうち今年は5月21日にマレーシア・ペナン(アジア布教拠点)、9月21日に身延山久遠寺(山静教区)、11月26日に名古屋(中部教区)が行われます。内野日総管長猊下ご親修のこの大会に1人でも多くの檀信徒が参加し、報恩の誠を捧げると共に、日蓮宗徒としての自覚を新たにしていただきたいと思います。
私たち日蓮宗徒の目指すところは、「いのちに合掌」の精神に基づいた「安穏な社会づくり」にあります。しかしながら、世の中は必ずしも私たちの目指すところに向かっていないのが現状です。毎日のように悲惨な、或いは信じがたい出来事が報道されます。昨年も私が残念に思う出来事が2つありました。1つは関東地方のある都市で起きた、保育園の建設反対運動の理由の1つに「子どもの声がうるさい」というものがあったことと、もう1つは関西のあるマンションで「居住者同士の挨拶はやめよう」という決議があったことです。それぞれのケースにはいろいろな理由があったのだとは思いますが、次世代を担う子どもたちを見守ることや、人間社会の基本である挨拶を否定するような考え方に違和感を覚えた方は多いと思います。
少子高齢化や女性の社会進出が進む中で、社会全体で子どもたちを守り育てていくことが求められています。また、年間2千万人を超える訪日客を迎える中で、自分たちの社会で挨拶できない人が本当に「おもてなし」ができるのでしょうか。
この様な世相に対し警鐘を鳴らすとともに、そのような考え方に至った原因を追求し、その対策を考える必要があるのではないでしょうか。社会の綻びが大きくなる前に、私たちは何ができるのかを考えましょう。
本年も檀信徒協議会では全国、さらには海外の檀信徒とも手を携え、祖願である「安穏な社会づくり」のために宗門のご指導のもと、より広範囲な活動を展開したいと考えております。
末筆になりましたが、今年1年の皆様のご健康とご多幸をお祈りし新年のご挨拶とさせていただきます。
南無妙法蓮華経