全国檀信徒協議会常任委員
京都府第一部檀信徒協議会会長
有賀 一夫 氏
謹んでお題目の功徳をもって、東日本大震災により尊いいのちをなくされた方々のご冥福を、心からお祈りいたします。
さらに願わくは本仏釈尊の慈悲の光があまねく世を照らし、困難な日々を強いられてる被災者の方々には、一日も早く心身ともに安らかな時を迎え、被災地の復興が速やかに達成されますよう、
お祈りいたします。
南無妙法蓮華経
私たち日蓮宗宗徒はいのちを尊び、立正安国の教えのもと、異体同心をもって安穏な社会づくりに邁進することをお誓いいたします。
いよいよ宗門も平成27年「立正安国・お題目結縁運動」の第3期「開花活動」が始まりました。「平成33年に迎える日蓮聖人御降誕八〇〇年を目途とする宗門運動の布教方針は「合掌」また今年度のサブテーマを「組織で動く」が設定されました。教区・管区・寺院・さらに修法師会や声明師会、布教師会、社会教化事業協会や寺庭婦人会・檀信徒協議会など、さまざまな組織があります。それらの組織をフル稼働して布教方針を宗門全体の隅々まで行きわたらせ、一人でも多くの人たちに日蓮宗の「合掌」を伝えていくこと、それが「組織で動く」ということです。
申すまでもなく、信仰の基本は「但行礼拝」であります。「今日は」「ありがとうございます」「お世話になります」など、合掌しながら心でお題目「南無妙法蓮華経」を唱えています。
私ごとですが、私の故郷は雪深い信州安曇野です。先月故郷に帰りました時、友人から「ちょっといい話」を聞きましたので、お話します。
毎朝、新聞配達をしている少年がしました。一人のお爺さんが少年に会ったので「おはよう」と挨拶しました。少年は笑顔で会釈をしました。次の日もお爺さんは、挨拶しましたが、少年は会釈を返すだけでした。
これに腹を建てたお爺さんは配達所の所長のもとへ行き、「あの子は人に挨拶が、できないのか」と文句を言いました。所長は素直に謝った後、「あの子は耳が聞こえず、しゃべられないのですよ」「学費も新聞の奨学金で、やっていましてね」「家が助かると、お母さんが喜んでいましてね」と少年のことを話したのです。
翌日、少年が新聞を配達すると、お爺さんが画用紙を持って、待っていました。そこには「おはよう・山本君・いつもありがとう」と書いてありました。少年は、涙をこらえながら、何回も、何回も合掌しお辞儀をしました。
次の世代に何を残せるか、それは私たち檀信徒大人の責任です。未信徒や周囲の人びと、親兄弟、子や孫、ご先祖さまにご縁のある、全ての人びとが、共に歓びを分かち合える、そんな素晴らしい祈りに満ちた、世の中を目指すことが大人たちの責任です。第3期開花活動で私たちが合掌し「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることこそが「いのちに合掌」の心であり、かたちです。
お題目で美しく咲かせた心の花を一人でも多くの人たちに伝え弘めたくさんの花を咲かせましょう。