檀信徒協議会と檀信徒研修道場~宗門運動推進のために~
日蓮宗の憲法とも言うべき『日蓮宗宗憲』の第77条には「檀信徒は、その本分を尽くすため寺院及び教会の護持会に加入し、組、管区、教区及び全国の協議会を組織しなければならない。」と明記されています。今号では、各組織の協議事項に挙げられる檀信徒研修道場(『日蓮宗規程』第36号「檀信徒研修道場規程」・第41号「檀信徒協議会規程」)について紹介します。
日蓮宗全国檀信徒協議会は、全国74管区から選出された檀信徒協議会会長と身延山久遠寺法主推薦の委員で組織されている団体であり、宗務院・宗務所と協力し僧侶檀信徒となって、お釈迦さま、日蓮聖人がお説きになられた法華経の教えを弘めていくことを目的としています。そこで、宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」推進のため檀信徒の信行推進者を育てることを目指して檀信徒研修道場が開催されています。檀信徒研修道場は、管区・教区・中央で開催されており、ステップアップ形式となっています。中央及び教区の檀信徒研修道場修了者は、檀信徒の模範となって菩提寺の住職を補佐する役割を担うことができる存在とも言えます。また、中央檀信徒研修道場修了者には宗務総長名の特別信行推進証を授与しますので、信行の励みとなるとともに、今後の自身のお題目修行の更なる精進に繋がることでしょう。
日蓮宗中央檀信徒研修道場は、年2回、身延山と全国各地の由緒寺院を会場として開催されています。本年度は主任・野坂法行師(千葉県妙厳寺住職)、講師・田端義宏師(青森県永昌寺住職)のもと、前期は既に5月24日から26日までの日程で山梨県身延山研修道場にて開催され、後期は8月31日・9月1日の日程で神奈川県片瀬龍口寺にて開催されます。これは9月12日の龍口法難会に合わせて、参加者に宗祖と門下檀越のご法難の追体験をして頂くことを狙いとしています。研修では法華経やご遺文の講義に加え、宗門運動を社会で活かすための研修や唱題行、参加者たちが自らの信仰について語り合う法座などもあり、非常に充実したものとなっています。特に法座は和やかな雰囲気の中で先生方と直接お話できるということもあり、法話や講義とは違った形で学ぶことができるため、多くの参加者から好評を得ています。
現在、檀信徒協議会と檀信徒研修道場は「宗門運動の推進」という同一の目的を持ちながら、必ずしも密接な連携ができているという状況ではありません。また、檀信徒研修道場は教区開催では多くの参加者がいるのに対し、中央開催となると参加者の数が激減するという課題を抱えております。そのような現状の中、昨年、池上幸保全国檀信徒協議会長(当時、副会長)は連日開催された九州教区檀信徒協議会総会と同教区檀信徒研修道場に出向し、視察並びに地元の方々との意見交換をして参りました。このように、組織の総会と研修道場が互いに連携を図ることによって、中央檀信徒研修道場への積極的な参加へと結びつき、立正安国の実現とお題目結縁への取り組みとして発展することが期待されます。
日蓮聖人は『上野殿御返事』というお手紙の中で「銭一貫、塩一俵、里芋一俵、生姜少々、お送り頂きありがとうございます。あなたはこのような貴重なものを法華経のためにご寄進くださいました。ありがたいことです。」と述べられています。日蓮聖人は多くの檀越やご信者さんに支えられながら一生を賭して法華経を弘通されました。この時と同じように、お釈迦さま、日蓮聖人がお説きになられた法華経の教えを通した安穏な社会づくりには、檀信徒ひとり1人の力が必要です。来たる平成33年の宗祖ご降誕800年に向け、檀信徒の本分に目覚め蘇生する素晴らしい信仰体験をして頂きたいのです。一人ひとりの蘇生が宗門再生への道と言っても過言ではありません。所管である伝道部では、より充実した道場を目指し、関係機関に諮り信行カリキュラムやテキスト作りを開始しております。多くの方々に檀信徒研修道場へ参加し、個々の信行に厚みを増し、お題目を弘める仲間の輪を広げて頂きたいと考えています。