だんしんきょう 令和5年 9月号

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開催日:2023年09月01日

武田家治氏
全国檀信徒協議会副会長
近畿教区檀信徒協議会会長
大阪府大阪市檀信徒協議会長
大阪市薬王寺総代

宗教の本質は人間の良心

 副会長の武田でございます。日頃、檀信徒協議会にご協力、ご支援を頂戴し、誠に有り難く深く感謝申し上げます。
 全国檀信徒協議会では後世への信仰の伝承を最重点課題として活動に取り組んでいます。これまで『合掌 お題目~7つの教え』『えほん 合掌』およびその英語編を頒布しました。また信仰の相続のためのツールとして「日蓮宗新聞」の購読拡張に協力してまいりました。ほか核家族化する世帯の増加という時代背景を考慮して「結縁のご本尊」の紹介などもしてきました。現在は、子や孫に仏神を身近に感じて関心を高めてもらうための冊子『お寺は誰のためにあるの―菩提寺読本―』の作成中です。今秋には皆さんに配布できることと思います。
 一方で、本山顕彰のため年1度の総会後、本山寺院参拝を実施しています。今年は静岡県本山海長寺での総会後、有志で開創750年の節目を迎えた山梨県・総本山身延山久遠寺と、法華経篤信者で知られるお万の方と縁の深い本山本遠寺の団体参拝を有志で行いました。ぜひ檀信徒の皆さんも、これにならって菩提寺を中心に本山寺院への団体参拝などを企画していただければと思います。
 世界では、新型コロナウイルスの流行が下火になったかと思うと、ロシアのウクライナ侵攻が始まりました。北朝鮮では弾道ミサイルの発射実験が繰り返されています。このように混沌とした世相が続いています。人類の戦争の歴史は、今に始まったことではなく、有史以来、再三繰り返されているのです。
 ヨーロッパ文明発祥のエーゲ海文明(ギリシャ)とオリエント文明(フェニキア)の2大圏が中心になり、ギリシャ、エジプト、ローマ、フェニキア、ヘブライ、アッシリア、バビロニアなど国の興亡が繰り返され、戦いに敗れた民衆は奴隷として売買されました。なんとも不幸な出来事が繰り返されるなか、国家の平和と民衆の幸福を求めて宗教が生まれたものと私は考えます。
 

世界平和をリードしていくのはわたしたち

 残念なことに近代になってからも戦争の歴史は繰り返されました。第1次世界大戦では、世界中で1千万人以上の尊い人命が失われました。その反省から国際連盟が結成されましたが、機能せず、第2次世界大戦が勃発しました。日本はドイツ、イタリアと3国同盟を結び、イギリス、アメリカ、ソビエト連邦、中国などと戦い敗戦しました。日本はこの戦いで、15、16歳の若者を戦地に送りました。銃後の人たちも軍需工場で働かされました。軍関係の死亡者は約200万人以上ともいわれ、民間人もあわせて300万人以上の人が亡くなりました。戦災に遭った人は700万人にも及ぶといわれます。このような悲しい歴史を正しく理解、繰り返さないことが、不戦の世の中への第1歩となるのではないでしょうか。何よりも1人ひとりが、世論や時代の流れに左右されない正しい知見を持つことが大切だと思います。
 世界中に戦争を望んでいる者などいません。私利私欲の戦争を肯定する宗教もないはずです。宗教の本質は人間の良心にあると思います。全世界の宗教者が手を結び、世界の安泰と民衆の幸福を得られるような活動に力を入れなければなりません。世界の平和をリードしていくのは信仰心を持った者の使命だと思います。

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