武田 家治氏
全国檀信徒協議会副会長
大阪府大阪市檀信徒協議会会長
大阪市薬王寺総代
全国の読者の皆さま、日頃から全国檀信徒協議会にご協力とご支援をいただき、ありがとうございます。
檀信徒協議会では、日蓮聖人降誕800年記念事業が終了し、9年後の日蓮聖人第750遠忌法要に向かって、活動の軸を移すところです。活動の幹は変わることはありませんが、布教の一助となれるよう、われわれ檀信徒が宗門の応援団であることを意識し続けなければなりません。
その第一となるのが、子や孫への信仰の伝承だと思います。我々は祖父母、親から信仰を受け継いできたバトンランナーであることを自覚しなければなりません。いま全国檀信徒協議会では伝承の手引き書の来年度発行を目指して作成中です。この小冊子が完成したときは、ご活用いただき、全国の檀信徒が参考にしていただければと念じております。
世相に目を移せば、相も変わらず新型コロナウイルス感染で、世界はまだ元の生活に戻ることができずにいます。あわせて、原油やガスの値上がりで、世界各国でインフレ状況になり、生活が困窮を極める国もあります。
そのなかでロシアがウクライナに侵攻し、世界の秩序が壊れつつあります。我が国においては、高齢化や出産の減少による人口減少などで、大きな変動期を迎えています。
このような時期に、日蓮宗としていかに檀信徒の減少を食い止め新しい信徒を増やすか、檀家の維持や増加が大きな課題となることでしょう。いかにして揺るぎない財政基盤を築くかを検証しながら諸活動を展開するかを考えなくてはなりません。
そのためには確固としたマスタープラン(基本計画)を作る必要があるかと思います。そして日蓮宗の30年先にあるべき姿を想定し、その目標に向かって末端の寺院まで一致団結して協力する計画案を作ることが大事だと思われます。
そのためには、まず第一に現況の把握が重要です。たとえば、「檀家の世帯、信徒数(日本の何%にあたるのか?)」であるとか「30年後に何%にするのか(目標)」を明らかにする必要があるでしょう。
経済的に維持が困難になっている寺院がどれくらいあるかの把握も大事でしょう。30年後の維持困難な寺院をどのような形で救済するか? 統合するのか? その場合の方法は? といった検討課題もあります。布教の内容や、50年ごとの記念法要の内容はいまのままでいいのか? といったことも議論が必要でしょう。そのほか、思いつくことでは、僧侶の育成、本山や由緒寺院への参拝の促進などもテーマとなることでしょう。寺離れ・墓離れ・葬儀離れの問題や子孫への伝承など檀信徒に関わる課題も枚挙にいとまがありません。宗門と連動して檀信協も取り組んでいかなければならない懸案も多数あります。
まずもって檀信徒の我々はこれまでどおりお題目への結縁を続け、少しでも多くの人と縁を持つように心掛けていきましょう。