令和甲辰年も年の瀬が迫って参りました。大晦日と言えば、NHKの紅白歌合戦。例年そのラストを飾ってきたのが、ご存じ「ラスボス」こと小林幸子さん(以下、敬称略)です。今年の紅白には、いまのところ出演者リストにその名はありませんが、芸能生活60周年を迎えた彼女の登場を期待していた視聴者も多かったことでしょう。
近年は、日本最大級の動画サービスニコニコ(niconico)でボーカロイド初音ミクとコラボレーションしたり、本年8月の芸能生活60周年記念イベント「小林幸子60周年記念公演in新橋演舞場~ラスボスのキセキ~」では、AI技術により再現されたデビュー当時の「10歳のさっちゃん」との共演も果たすなど、いまや老若男女幅広い世代に支持されている彼女ですが、その小林幸子をデビュー当時、芸能界に導いたのが、当山檀徒の鈴木仙十郎氏でした。
仙十郎氏は、日本コロムビアのディレクター時代、畠山みどり、小林幸子、杉良太郎を担当し、古賀政男、市川昭介、星野哲郎はじめ昭和の作詞家・作曲家と時代に合った歌の製作に明け暮れました。その後、東芝EMI株式会社にスカウトされ、担当した水原弘は日本レコード大賞歌唱賞を、城みちるは日本レコード大賞新人賞を受賞。スター誕生、全日本歌謡選手権には審査員として活躍し、その後も藤島桓夫、箱崎晋一郎、小松みどり、山川豊を担当しました。
平成28年6月の仙十郎氏の葬儀には、故人を「育ての親」と慕う小林幸子さんや城みちるさんら多くの芸能関係者が、弔問・会葬に訪れました。仙十郎氏は「小林幸子」の名付けの親でもあり、本名「林幸子」の幼名「幸子」をそのまま芸名とするよう古賀政男氏にかけあったそうです。
詳しくは、当山寺報『法住』42号(平成31年1月発行)の鈴木ミドリ氏寄稿「出会いという言葉が大好きです」をご覧下さい。