声は出なかったけれど、心には響いた一日。「夕張のうたコンサート」

10月4日、妙法寺にて「夕張のうたコンサート」が開催されました。

「夕張のうた」は、あの名曲「Choo Choo TRAIN」の作曲者としても知られる中西圭三さんが作詞、ピアニストのJaXonさんが作曲し、夕張出身のシンガーMASAKOさんらが歌う、故郷への思いが詰まった一曲です。

当日は大勢の皆さんにお越しいただき、会場は大盛況! 妙法寺の本堂が温かな音楽と笑顔に包まれました。

実はこのコンサート、私の入寺式が終わって、わずか数時間後の出来事でした。

朝から緊張の連続だった入寺式。無事に終わってホッとしたのも束の間、今度はコンサートです。身体は正直、かなり疲れておりました。

それでも、せっかくの機会ですから、一人のお客さんとして音楽を楽しもうと思っていたのです。

ところが……。

なんと突然、ステージに上げられてしまいました。

そして、いざ声を出そうとすると……声が出ない!

お経はあれほど唱えていたのに、歌となると声が出ない。どうやら私の声帯は、入寺式をもって本日の営業を終了していたようです(笑)。

いやぁ、恥ずかしかった!

しかし、そんな私とは対照的に、出演者の歌声は本当に素晴らしいものでした。

あらためて感じたのは、歌には、人の心をつなぐ不思議な力があるということです。

同じ歌を聴いていても、そこに重ねる思い出は人それぞれです。楽しかった子どもの頃を思い出す人。今は離れて暮らす家族を思う人。かつての夕張の賑わいを懐かしむ人。そして、この町の未来に希望を託す人。

一人ひとりの人生は違っても、一つの歌を通して、みんなの心が同じ場所に集まってくる。そんな温かさを感じました。

夕張という町は、決して順風満帆な道を歩んできたわけではありません。それでも、この町を愛し、故郷のために何かを残そうとする人たちがいる。自分たちの町の歌を、次の世代にも歌い継いでもらいたいと願う人たちがいる。

町を支えているのは建物や道路だけではなく、そこに暮らす人たちの「思い」なのだと、あらためて感じさせられました。

そして、この日はもう一つ嬉しい出来事がありました。幼稚園の頃、大好きだった先生との再会です。何十年経っても、こうして懐かしい人に会える。これも故郷ならではの喜びですね。

仏教では、人と人とのつながりを「縁」といいます。

歌を通して生まれる縁。故郷を思う人たちの縁。そして、何十年という時間を超えて、再び巡り会う縁。

この日、妙法寺にはたくさんの温かな縁が集まっていたように思います。

入寺式から続く長い一日。身体は疲れ切っていましたが、終わってみれば、それ以上に心が満たされた、忘れられない一日となりました。

出演者の皆さま、準備や運営に携わられた皆さま、そして足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。

故郷を愛するということは、何も大きなことをするばかりではありません。その町を忘れずにいること。懐かしい人を大切にすること。そして、次の世代に何かを残そうとすること。

そうした一人ひとりの思いが、町の未来をつくっていくのだと思います。

故郷とは、ただ生まれ育った場所ではなく、いつまでも自分の心が帰っていける場所なのかもしれません。

これからも「夕張のうた」が、多くの人の心をつなぎ、歌い継がれていくことを願っています。

ぜひ、皆さんにも聴いていただきたい一曲です。

🎵 「夕張のうた」を聴く(YouTube・オリジナルバージョン)

それにしても、住職になった記念すべき日に、まさか人前で声が出なくなるとは……。

この日は「法灯継承式」でしたが、どうやら私の声だけは、継承されずに力尽きてしまったようです(笑)。

一覧へ