坊守のひとりごと23’4

私が幼い頃、両親に連れられて行っていたお寺のお坊さんはしわがれた声とくしゃっとした笑顔でよくお菓子をくれました。曹洞宗のお寺で本堂からの帰り道に通る座禅堂の中に見える黒いざぶ(座禅をする時に足に挟む黒い座布団)が幼い頃はとても怖かったです。
ある日、お寺に行く前に母親とひと悶着して、ふてくされたままついていった時、両親が私のことをあーだこーだ言っている隣で
「大丈夫、大丈夫、真理ちゃんはそのままでいいから」
みたいなことを言われ、なんだかとても嬉しかったことを覚えています。反抗期で尖ったナイフのようにキレッキレな私でしたが、共働きで忙しい両親と唯一一緒にいける場所がお寺だったように思います。
時代が変わり親や祖父母とお寺に行く機会がある人は随分と少なくなりました。縁があってお寺に来てくれる人にはもちろん、まだ繋がっていない人の縁もぐいぐいと手繰り寄せてお寺のことや、神様仏様の事、見えない世界のこと色々知ってもらえたらな、と感じています。
ただ、お寺というよりもあの笑顔の素敵なじいちゃんお坊さんが好きだったんだな、と。
やっぱり人ですよね。お寺の活動等を通して皆さんに身近なお坊さん、坊守さんになっていけたらと思います。

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