ラマダンを覗く

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「イスラム教=インド=カレー!!」
布教師会研修の案内葉書を見た瞬間、
私の頭の中に、大好きなカレーの香りが漂ってきた。。。

 先日、その研修に参加し、
イスラム教徒のモスク“熊本イスラミックセンター”を訪問した。
事前にインターネットで「イスラム教」と検索してみると、
1位「豚肉を食べない理由」、
2位「イスラム教とは」、
3位「イスラム教 食事」、
4位「・・女性」、
5位「・・断食」、
6位「・・礼拝」、
7位「・・聖地」、
8位「・・教え」、
9位「・・国」、
10位「・・神」。

上位に“食”に関する3項目が入っている。
意外なことに、
一般人はイスラム教の“食”に関して高い興味を示しているようだ。

 実際にこのモスクのイマム(聖職者)に話を伺った。
ムスリム(イスラム教徒のこと)が「豚肉を食べない理由」は、
“コーラン(イスラム教の聖典)にそう書いてあるから”と。
ネットではいくつか理由が示されていましたが、
率直に「ダメなものはダメ」ということらしい。

「食事」に関しては、
コーランの教えに基づいた実践書「ハディース」に厳密に示してある。
「ハラール」と呼ばれる食材・調理道具・調理法などに則って作られた料理を食べなければならない。
「断食」について。
イスラム教ではラマダンという断食の期間(1ヶ月間)があり、
夜明けから日没までは一切の飲食をしてはいけないという決まりがある。
ただし、日没後と夜明け前の2回はしっかりと飲食ができる。
 なぜ断食をするのか。
飲食物は、神(アッラー)からの恵みであり、
その恵みに感謝し、食欲を抑えることで、
悪い行ないの元となる欲望をコントロールできるようになるための訓練であるとのこと。

 ふと日蓮宗大荒行堂を思い出す。
朝夕2回のおかゆと味噌汁で命をつなぐ。
慢性的な空腹状態を体験したからこそ、
心から食べ物のありがたさがわかる。
そこから、生かされていることへの感謝の気持ちが芽生え、
貪り・怒り・愚痴という欲望を抑える心が養われる。

 今年は5月15日から6月14日までがラマダンとなり、
訪問当日もラマダンの期間。
 ラマダン中、この熊本イスラミックセンターでは、
日没後毎晩参拝者に夜食が振る舞われるそうです。
 料理は日替わりで各国のムスリムが担当し、
この晩はパキスタン料理。
密かに期待していた“本場のカレー”をご馳走になった。
100名以上の多国籍な人々と、
ひとつ屋根の下で食べるカレーは格段に美味しかった。

 

 参拝者の男性に話を伺った。
この男性はキリスト教(カトリック)からイスラム教へ改宗。
彼は、こんな話をしました。

「キリスト教の時は、信者同士は“みんな友達”という感じだったが、
イスラム教に改宗してからは“みんな家族”という実感に変わった」と。

私たち仏教徒もそういう繋がりになりたい。
 

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