【能勢町】母なる森の一大事(妙見山)

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先日の読売新聞北摂版(6月29日付)に、無漏山真如寺の境外仏堂「能勢妙見山」の境内にあるブナ林の保護活動についての記事が、『妙見山ブナ林再生の芽吹き』というタイトルで掲載されていました。
一般的に、寒冷地や1,000メートル級の高山でしか育たないといわれているブナの木が、660メートルと低い標高の能勢妙見山に群生していることは大変に珍しく、西日本でブナ林が見られる最も低い山ということで府の天然記念物に指定されているそうです。
その貴重なブナ林が、近年では種を落とすことがめっきり少なくなり、運よく発芽した若木も食害に遭うなどして、今後の育成状況が懸念されていました。
 
私はこの1年ほど、真如寺様に出入りすることが多くなっていましたので、御住職などからその件についてのお話は多少伺っていました。それで、今まで全く無知であったブナについても、色々と調べる機会が増えたのです。
ブナの特徴としては、その種子は大変に栄養価が高く、森に棲む多くの生き物を養うと同時に、自らの枝葉で土壌に豊富な栄養を供給して土も養うことから、欧米では「森の母」などと呼ばれているそうです。
ブナは、生まれて40~50年経って、直径で20センチ位になった頃から種子を作り始め、寿命を終えるまで種子を生産し続けますが、隔年でしか結実しません。変則的な結実に応じて、ブナの実を食べる動物も多くなるため、6~7年に1回「なり年」という大豊作にして、動物が食べ切れないほどの実を作り、結果的に多くの若芽を守っているというのです。
 
真如寺の御住職とそんな話をしているうち、何だか不意に熱いものがこみ上げて来ました。
様々な種類の草木が息づき、様々な動物たちが棲む楽園。生態系のバランスがとれた健康な森。
この様な事象を考える時、私はつい動物本位で物事を考えてしまいがちでしたが、たくさんの動物や土壌を養いながら、動物を使って種子を遠くに運ばせたり、このブナのように必要以上の種をばら蒔いたり…
 
…… 植物も、苦労が多いな ……
 
今年、能勢の妙見山のブナ林は、十数年ぶりに400本を超える若芽が確認されました。危機的状況にあることには変わりありませんが、とにかく希望が持てる出来事です。
我々人間も含め、あらゆる生物の命を養う森を、私たちは、人の満足のためだけに奪ってはいけませんね。

能勢妙見山ブナ守の会
日蓮宗霊場 能勢妙見山



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