『恩は返すべきものにあらず。ただ謝すべきのみ。』 第731回御会式法要

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11月28日、当山にて日蓮聖人の第731回御会式を厳修致しました。

本年は新住職になって初めて迎える御会式でしたので、どのような段取りにするか頭を悩ませておりました。例年は本堂で御会式法要を勤めた後、教化ビデオを1時間ほど観賞し、皆さんとご一緒に昼食を取ります。その後「会計報告」をして、次年度の斎米(ときまえ)額を決めていただきます。その額により、12月15日の斎米寄せで持ち寄る金額が決定されるのです。以降は総代さんだけが残り、本年最後に懸案事項をご審議していただいて、恒例のおぜんざいを戴いてお開きとなります。
 
法要と会計報告、その後の会議は別として、常々1時間のビデオ観賞の時間を工夫したいと考えておりました。私が自坊に戻るまでの間は、師父があちこちから集めたビデオ(萬屋錦之介や長谷川一夫がお祖師様役を演じた作品)を、毎年1時間ずつ途切れ途切れに観て、全部観終えたらまた初めからといった具合に使い回しておりました。ダビングを重ねたVHSビデオですから、画像も相当劣化しており、顔の判別さえ出来ない部分もありました(*o *; アワワ...
 
今回は、先ず「私達僧侶が、法事や葬儀以外でどのような活動をしているのか?」「管区で行われている諸行事には、どのような意味があるのか?」の2点を知っていただくことをコンセプトにし、1年間の活動報告DVDを静止画・動画を織り交ぜ作成しました。そのDVDを観ていただきながら、より分かり易く楽しく理解していただけるよう心掛けて私が生解説致しました。先ずはそんなレベルから、コツコツと積み上げて行こうかなと思っております。
錦之介や長谷川一夫のような往年の大スターが映画で演じることは、観るものに強烈なインパクトを残し、国民の認知度を一気に上げてくれますが、必ずしも正しく教化してくれる訳ではありません。他管区の御上人のブログ等でも紹介されておりますが、御会式の参詣者が他の法要に比べて年々減っているという現実は、一部の地域に限ったことではないのです。
 
弘安5年(1282年)10月13日、61歳のご生涯を池上にて閉じらたお祖師様。日蓮門下にとって最も重要な法要こそが、この『御会式』なのです。御会式を奉修するのは、報恩感謝の誠を捧げるため。今日、御利益をいただけるのもお祖師様のおかげということを、私達はしっかり肝に銘じなくてはなりません。御会式の時、『恩山の一塵、徳海の一滴を謝し奉る』(山のような御恩に対して、一粒の塵ほどでもお返しする、海ほどの大きな徳に対して、たった一滴の水だけでもお返ししたいという心持で、ただ只管に謝して御給仕させていただく)と言上します。そんな尊いお気持ちを片時も忘れることなく、毎年の御遠忌には菩提寺に足を運ばれ、お祖師様の御厚恩に感謝していただきたいと思います。
 
『恩は返すべきものにあらず。ただ謝すべきのみ。』

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