東京が2020年夏季五輪・パラリンピックの開催都市に選ばれましたね!
東京での五輪開催は、1964年以来、実に56年ぶり2回目。日本での五輪は72年札幌、98年長野の2度の冬季五輪を含めて4回目です。64年大会は、私が“神童”と呼ばれていた(真っ赤なウソです!)2歳の時でした。記憶にはほとんど残っていませんが、4本脚の白黒ブラウン管テレビがカラーになる直前の頃でしょうか。
現地の映像を観ていて、東京招致委員会の関係者の歓喜する様子に、思わず胸が熱くなりました。自分がメダルを取ったことよりも、今回の開催決定に「子供たちに次のステージを用意することができて嬉しい。今まで生きてきた中で一番嬉しい!」と、男泣きで答えたフェンシングの太田雄貴選手の言葉に、東京招致に対する意気込みが集約されているように感じました。皆様、本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。
また、IOC総会で開催都市に東京が選ばれた直後、決選投票で敗れたトルコのエルドアン首相が、安倍首相に駆け寄り、抱擁してお祝いの言葉をかける一幕がありました。
5月に安倍首相がトルコを訪問した際に、「トルコがオリンピックを射止めるなら、わたしは世界で一番最初にお祝いしたい。日本がオリンピックを射止めたら、エルドアン首相に世界で一番最初に祝っていただきたい。」との約束を果たしてくれた訳ですが、決選投票で敗れた直後だけに、尊いオリンピック精神を体現したトルコ首相の行動には感動しました。それは、東京開催の決定直後から、続々と日本に祝福の言葉を寄せていただいたトルコ国民の皆さんにも共通して言えることだと思います。
ただ、我が国が本当に為すべきことから目を逸らしてしまうような“浮かれ列島”にはウンザリです。
開催決定で今まで関心の低かった国々も含め、世界各国からの厳しい目にどんどん曝されることにより、復興に対する政府、東電等の姿勢が正義の名の下に、是正されるべきは速やかに正され、復興への様々な取り組みが加速することを願います。また、このお祭り騒ぎを利用して、エネルギー施策が政府の都合の良いように扱われてしまうことを懸念しています。
今回の招致成功の最も大きな要因の一つが、最終プレゼンで行った安倍首相の演説だと言われています。東京電力福島第1原発の汚染水漏れに対するIOC委員の疑念を、再び日本の首相が“Please trust me.”と断言して払拭した格好です。
確かに看板倒れの16年招致の時に比べれば、今回の招致委員会は一枚岩の体をなしていたように思いますし、ロゲIOC会長からは「大変に質の高い招致活動」と絶賛され、国民の関心も高かった。安倍首相の演説は力強く、特に日本国外に住むIOC委員の方々には頼もしく思えたでしょう。
開催まで7年。7年後など瞬く間にやってきます。
五輪開催に間に合わせるべき“復興”であってはなりません。
今回の招致活動において「福島とは250キロ離れている。」(9月7日/東京新聞)との発言もあったようですが、避難生活を強いられている15万人にも及ぶ福島県民の皆さんにはどう届いたでしょうか。福島県内における震災関連死と認定された死者数は、8月末現在で1,539人に上り、地震や津波による直接死者数1,599人(県災害対策本部調べ)に迫っていることも分かりました。
報道では避難生活が前面に出て、お身内を亡くされるという内面的な苦痛はなかなか伝わりません。「希望」とか「夢の力」なんて耳触りの良い言葉は、この現状で汲々と生活せざるを得ない方々には無意味に等しいでしょう。
被災し続けている我が国土に対して、英知を結集して、考え得るありとあらゆる対応を盡くしてそれを実現した後にこそ、日本国民全員でおもてなしする準備が出来るのです。