江戸しぐさ

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「江戸しぐさ」とは、江戸時代の町衆の行動規範と申しますか、マナーや道徳として伝承されて来たものです。
詳細については諸説ありますが、「思い遣り」や「心遣い」に通じる部分は大いにあり、人間関係が希薄になりつつある現代において学ぶべき点も多いと思います。早水日秀先生も、何年か前に御法話で取り上げていらっしゃいました。  
朝勤の後、小3の長男にこの「江戸しぐさ」を読んでもらっています。読み始めたのが小学校に入る少し前からですから、もう3年近くなります。当初、息子には言葉の意味を説明しませんでした。とにかく理屈抜きで読んで、読んで、心に染み入るまで読んでもらおうと考えたのです。(ふり仮名は付けました)
最初は当然「???」でしたが、毎朝読んでいるうちに長男も内容を理解出来るようになりました。日常で「あっ、これって?!」と、「江戸しぐさ」を引き合いに出したりもします。最近は感情を込めて言うので、毎朝私が説教されているようで居心地が悪いです(^^;ハッハッハー
いつの世にあっても、先人、先達の教えを大切にしていたいものです。もうご存知の方も多いでしょうが、以下に紹介致します。
 
「江戸しぐさ」
 
 ①  「忙しい、忙しい…」と言うな。…忙しいとは心を亡くすこと、決して自慢できることではない。
 
②  「そんなに偉いかたとは知らずに…」と言うな。…偉くない人には無礼をしても良いのか。
 
③  知ったかぶりをするな、見てわかる事を聞くな。…知らないなら「知らない」と言った方が良い。
 
④  人の話を真剣に聞くときにメモをとるな。…メモを取ると話す人の気が散る、聞く人の真剣味が減る。
 
⑤  自分と違う意見をないがしろにするな。…意見が違うから参考になる。 
 
⑥  「はい、はい」と二度返事をするな。…一度目は了解、二度目は迷惑。 
 
⑦  感情を逆撫でする言葉を使うな。…聞く人の気分を害する。
 
⑧  人の意見を無視する言葉を使うな。…話している人は真剣だ。
 
⑨  人に行き先をむやみに聞くな。…プライバシーを尊重せよ。
 
⑩  相手を卑下するな、威張るな。…そんなに自分が偉いのか。
 
⑪  三脱の教え。初対面の人に「年齢」「職業」「地位」を聞くな。…聞いて付き合い方を変えるのか。
 
⑫  人と会っているときに、足組み、腕組みをするな。…自分を誇示する印象を与える。 
 
⑬  仲介者を飛び越えて親密になるな。…紹介していただいたことに感謝せよ。
 
⑭  打てば響く心意気を持て。…説明しなければわからない輩とは付き合うな。
 
⑮  話をしてもうわの空の人とは付き合うな。…いつでも真剣勝負、些細なことでもないがしろにするな。
 
⑯  口先でなく目で人を判断しろ。…表面的な言葉では判断できない、本質を見よ。
 
⑰  三つ「心」、六つ「躾」、九つ「言葉」、十二「文」、十五「理」で末決まる。…三歳までに人間の心の糸をしっかり張らせる。六歳までに躾を手取り足取りまねさせる。九歳までに人前でお世辞のひとつも言えるぐらいの挨拶が出来るようにする。十二歳には一家の主の代書が出来るようにする。十五歳で森羅万象が実感として理解できるようにする。
 
⑱  突然の訪問、遅刻で人の時泥棒をするな。…時間は大切なもの、自分の時間だけでなく相手の時間も奪っていることに気づけ。
 
⑲  うかつあやまり。足を踏まれたら、「うっかりしていました」と謝れ。…ぼんやりしていて踏まれた側にも責任がある、思いやりの心。 
 
⑳  常に人を思いやれ。
 
「傘かしげ」 雨のしずくがかからないように、傘をかしげあって気配りをして往来するしぐさ。
 
「肩引き」 狭い道ですれ違うとき、肩を引き合って胸と胸を合わせる格好で通り過ぎるしぐさ。
 
「こぶし腰浮かせ」 乗合船で腰の両側にこぶしをついて軽く腰を浮かせ、少しずつ幅を詰めながら一人分の空間を作るしぐさ。 

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