春季彼岸会『法華題目鈔』から見る心を軽くするヒント。

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こんにちは、副住職です。
3月19日の御題目講にお越しいただき、ありがとうございました。
春のお彼岸ということもあり、いつもより大勢の方にご参詣いただきました。
大勢の方と一緒にあげるお経はとても気持ちが良いものでした。
いつもこれくらい賑やかだと嬉しいですね。
 
今回は、春季彼岸会の法要をおこない、お檀家の皆様の先祖代々の御供養、有縁無縁の精霊の御供養を致しました。
さて、本日の住職による法話は、日蓮聖人の『法華題目鈔』の一節、「妙と申す事は、開といふ事なり」に関してでした。
『法華題目鈔』は、法華経の題目を唱えることにはどのような功徳があるのかということについて、女性信徒に向けて分かりやすく、様々な例えを用いながら詳しく書かれている御遺文です。
「南無妙法蓮華経」の御題目、一字一字に重要な意味がありますが、なかでも「妙」の一字にはとても深い意味があります。
「妙」という字は、女偏に「少」と書きますね。
それはけっして、女性的な魅力が少ないという訳ではありませんよ(笑)
女偏に「少」、この「少」とは、小さく削るということです。
微細な動きを意味し、技術が巧みで優れていること、きめ細かいところまで行き届く、このことが女性の優れた特性とされるわけです。
日蓮聖人は「妙」の一字がもっとも大切であることを説明される中で、
「妙と申す事は、開といふ事なり」と説かれたのです。
妙=開である。では、この「開」とは何か。
「開」とは、開くということです。
法華経の欲令衆の中に「諸仏世尊は衆生をして仏知見を開かしめ…」という経文があります。
ここでは、仏の知見を「開く」という意味で用いられています。
私たちに仏様の知見を気づかせるということです。
仏様は、私たちの肉眼では見えない、すべてを見通す仏の眼をお持ちになって、生きとし生けるものを導いてくださっているというのです。
 
私たちは、普段、自分の事や自分の周りの仲の良い人ばかりが大切だと思いがちです。
しかしながら、仏様の眼から見れば誰もが平等であり、皆それぞれに優れた特性があるのです。
その中で「あの人は嫌いだから」と言って、自ら取捨選択してしまっては、自分本位の凡人になってしまいます。
では、そんな凡人にならないためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
少し考えてみてください。
自分には関係ないと思っている人や、嫌いだと思っている相手から、何かを気づかされた経験はありませんか?
そのように「自分にとって嫌だと思っている人や、敵対する相手からこそ、自分がさらに精神的に成長するチャンスが与えられている」ということに気づくことで、自らの「心の眼」を開くことが重要なのです。
この思想を法華経では「開会(かいえ)」といいます。
人間がもっている眼はきわめて狭い範囲しか見えませんが、仏の眼をいただいて、より広い視野に立てば、人間誰もが平等なのです。
そうした仏の眼、心の眼を開かせることが教主釈尊の大いなる願いであると、法華経は説くのです。
平等に物を見るというのは大変なことです。
人生色々ですから、生きていれば嫌なことやマイナスの事柄の方が多いのかもしれません。
しかし、それは後から冷静に考えてみると、あの時は嫌だなと思ったけれど、今になってみると、「あの人がああいう風に忠告してくれたから、自分は道を踏み外さずに済んだのだ」と気づかされることは必ずあるはずです。
そのようなことを自分の心の中で反省し、受けとめて、感謝していくことこそが法華経の精神なのです。
 
一見、マイナスに見えることをプラスに転化させていく。
それは自分の心の受け止め方次第です。
人間が生きていく上で、どのような心構えを持つべきなのか。
それを教えてくれるのが「仏教」なのです。
気づくこと。目覚めること。心の眼を開かせること。これこそが法華経の「妙」の一字の功徳であるのです。
普段は閉ざされている自らの心の眼が、どのような事によって開かれるのか、自分に都合の良いことばかりを求めていては「心の眼」は開かれない。
むしろ、マイナスなことを経験しながら、逃げずに一つ一つ乗り越えていくことで、だんだんと「心の眼」が開かれていくのではないでしょうか。
 
マイナスなことをプラスに変えていく心持ち…。
それが御題目を唱えることによって、身についていく…。
言うのは簡単ですが、実行していくのは難しいですね。
私も、お坊さんになってからは「あの人からはこういうことを学ばせていただいたな…」と考えるようにしています。
そうすると少しづつですが、心が軽くなったような気がしますよ。
皆様も是非、実践してみてください。
 
以上、長々とお読みいただき、ありがとうございました。
次回の妙恵寺御題目講は、4月19日14時~でございます。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
裕真。

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