法住山 要伝寺

　髙森大乗稿の論文「日蓮遺文にみる輪廻転生」が『仏教における死生観』（平楽寺書店、2010年9月）に掲載されました。
　古代インドでは、現世の業の報いによって来世に人間界を含む六種の生類に転生するという輪廻思想が存在しました。釈尊は、輪廻思想に関しては肯定も否定もせず、ただ現世で功徳を積むことに重きを置きましたが、この輪廻思想が、インド諸宗教に広く受容されたのと同様に、のちの仏教にも採り入れられたことは、よく知られるところです。
　日蓮聖人は、この六道輪廻転生思想を特に「謗法」「罪」という側面から捉え直した人物として知られます。その姿勢は、インド古来の輪廻思想について、単なる自業自得の果報として受け止めるだけではなく、法華経に基づいた独自の解釈へと展開をもたらしました。本研究では、日蓮遺文にみる六道衆生のそれぞれの記述を整理・分析し、特に転生に関する説示に着目して、日蓮聖人の転生観・死生観を考察します。
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