いじめ、不登校、自殺、性の悩みなど、多感な時期の青少年の受け止め方や心のケアについて心理学的アプローチで迫う書。青少年の問題行動を10種に分類し、危険信号(SOS)を分析・整理、問題行動の原因を心理学的に解明し、学校や家庭での早期発見・早期対応・早期指導の具体策を提示する。教育従事者・保護者の研修会や教育相談のテキストとしても利用価値あり。
特に、著者は、「自殺」の問題について、自殺者の背後に10人の未遂者が、その背後に100人の念慮者がいると指摘し、いわゆる「自殺防止のカウンセリング」を提唱する。年齢を問わず自殺願望のある者から相談を受けた際には、何も助言せずに、忍耐強く話を聴くこと、そして相手の発言を明確化し、共感的理解を持こと、孤独にさせないことが肝心であるとする。こちらの意見を述べたり、「こうしたらどうですか」とかの助言・提案などはタブーで、相手に誤解があると思っても、「あなたは間違っています」などという言葉は、もってのほかとのこと。カウンセラーは「心の便器」に徹する必要性を力説する。