祈って、めぐる

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新秋の候、皆様如何お過ごしでしょうか。
 
仏教の言葉の一つに「回向(えこう)」という言葉があります。
これは、回転趣向とも言い、自己が積んだ善行を他に向けることを指します。
最も有名で身近な回向は、お彼岸やお盆などで、我々のお題目や読経の声やお墓参りなどの善行によって、先祖にもう一つの善行を託し、少しでも安らかにいて欲しいと願います。
これが日本の仏教の特色であり、皆様がよく経験されていることだと思います。
しかし、お釈迦様のお弟子さんの中では、我々の善行が亡くなった親の善行となるのか、という疑問がわきました。
それは、自分の亡くなった親はすでに浄土の世界にて安らかであり、我々の善行など必要ではないと思ったからです。
 
これに対して、お釈迦様は、親が善行で満ちているならば、他の先祖や親族など多くの方のために善行をしなさいと言いました。
さらに、最も大事なことは、自らの善行は回向した自分にも戻ってくることだとお話されました。
 
つまり、万が一受け取る相手がいなくても、最後は自分に回向するとお話しされました。
仏事は、決して自分のために行うのではありません。
しかし、お釈迦様の眼差しからすれば、どのような善行も人々に幸せを与え、さらに自分に戻ってきます。
自分も他者も幸福にすることが、仏教の回向です。

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