心を育む合掌

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「がじんきょ〜にょ〜と〜 
 ふ〜かんきょ〜まん 
 しょ〜い〜しゃ〜が 
 にょ〜と〜
 かいぎょ〜
 ぼ〜さつど〜 
 と〜とくさぶつ
 なむみょ〜ほ〜れんげきょ〜
 いただきます!」
我が家では、
食事の前に
子供たちと一緒に合掌し、
このお経を唱えてから
ご飯を頂くようになりました。
 
 はじめは、冷蔵庫に
  「我深敬汝等(がじんきょうにょうとう) 
  不敢軽慢(ふかんきょうまん) 
  所以者何(しょいしゃが) 
  汝等皆行菩薩道(にょとうかいぎょうぼさつどう) 
  當得作佛(とうとくさぶつ)」
と書いた紙を貼って、
私だけが食前に唱えていましたが、
すぐに子供たちが真似をし始め、
あっという間に暗記しました。
今では、このお経を唱えずに箸を伸ばすと
「あ〜!がじんきょ〜言うとら〜ん!」
と子供たちに叱られます・・・。
 このお経を現代語にしますと
  「私はあなた方を深く敬います。
   決して軽んじたりしません。
   なぜならば、
   あなた方は善い行いをして、
   必ず仏になる人だからです」
という意味で、
法華経の「常不軽菩薩品」(じょうふきょうぼさっぽん)
というお経に出てくる一人の菩薩の行ないのことで、
この菩薩は、
どんな身分の人にでも出会うごとに合掌して拝み続けました。
時には、馬鹿にされたと思った人や、
気味悪がって怒り出した人から怒鳴られたり、
石を投げられたりすることもありました。
それでも合掌し拝み続けて、
やがて仏になられたのです。
 この常不軽菩薩(じょうふきょうぼさつ)のように、
あらゆる人々に「敬いの心」をもって、
尊敬し合い、
拝み合うことを「但行礼拝(たんぎょうらいはい)」といい、
日蓮宗が組織一丸となって取り組んでいる実践行為です。
 
 日蓮聖人は、四条金吾というご信者さんに送ったお手紙の中で、
   『一代の肝心は法華経、
    法華経の修行の肝心は不軽品にて候なり。
    不軽菩薩の人を敬いしはいかなる事ぞ。
    教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ。』
                              (『崇峻天皇御書』)
 現代語にしますと
   『お釈迦さまが一代で説かれた、
    たくさんのお経の中で大切なものは法華経であり、
    その法華経の中で、
    修行での大切なものは不軽品にあります。
    そこに登場する常不軽菩薩が
     「私はあなた方を深く敬います」
    等と言って、
    人々を敬ったのはどういうことであるのか。
    お釈迦さまがこの世にお生まれになった本当の目的は、
    人としての振る舞いを教えることですよ。』
とお示しくださっています。
 人と人とが関わる社会の中で、
一人一人が敬いの心を持って、
お互いを大切にし合うことが法華経の実践であり、
誰もが住み良い社会へとつながって行くのでは。
心を育てる第一歩、
まずは「いただきます」
と合掌して頭を下げてみましょう。        合掌

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