先日、妙勝寺本堂で営まれた法事の後、参列者の方から「正面に飾ってある『立正』の文字は何でしょうか」とのお尋ねがありました。
妙勝寺本堂の正面、御本尊をお祀りしている大きな厨子の上部には、「立正」と記された額が掲げられています。
これは、日蓮聖人に贈られた「立正大師」という諡号(しごう)を表したものです。
「諡号」とは、亡くなった人物の功績や人柄をたたえ、後世に贈られる名前のことです。
特に功績の大きな僧侶には、朝廷(皇室)から「大師号」が贈られます。
たとえば、天台宗の「伝教大師・最澄」や、真言宗の「弘法大師・空海」などがよく知られていますが、実際には歴史上、多くの高僧に大師号が贈られてきました。
日蓮聖人には、すでに南北朝時代に「大菩薩号」が贈られていましたが、大正11年、新たに「立正」の大師号が宣下され、「立正大師日蓮聖人」と称されるようになりました。
ちなみに、妙勝寺に掲げている額は、昭和6年に身延山久遠寺へ昭和天皇より下賜された「立正」の勅額(天皇の言葉や書を寺社に賜る額)のレプリカです。
この「立正」の勅額は、単なる書作品ではなく、日蓮聖人の「立正安国」の精神を顕彰する象徴として、今日まで大切に受け継がれています。

