管内の山々が春色に彩られはじめた3月25日、1泊2日の日程で檀信徒身延団参を開催しました🚌🚌
我々の日常に3年以上もの間、多大なる影響を与え続けたコロナ禍も、昨年5月には国が発令する行動制限が全解除されました。表面的には人の流れは活発となり、各地でコロナ以前の活気を取り戻しているように感じます。
宗門における行事も縮小・中止を繰り返しておりましたが、制限解除後より少しずつリスタートし元の軌道に戻りつつあります。
宗務所主催としては8年ぶりの団参となります。コロナ禍により、2度の総代祖山総登詣団参と降誕800年記念団参(千葉誕生寺・清澄寺)が相次いで中止の憂き目にあいましたので、今回の企画には一体どれほどのレスポンスがあるのか・・戦々恐々と見守っておりました💦
結果的には、檀信徒47名のご参加をいただき、教師7名と合せて総勢54名での祖山登詣となりました。本当に有り難いことでした😌
此の度の最も大切な目的は輪番奉仕(給仕)🙏で、一番のお目当ては「全国しだれ桜10選」にも選ばれた久遠寺境内のしだれ桜🌸でした。
境内には、樹齢400年を超えるとされる報恩閣前の「妙法桜」と、仏殿の前の「瓔珞桜」があります。身延町は「東の吉野」とも称され、久遠寺はその代表的な観桜期の名所なのです。
昨年のちょうど同じ時期、近畿教区の所長で輪番奉仕させていただいた折には、それはそれは見事な咲きっぷり🌸🌸🌸で、参詣者の衆目を集めておりましたが、今年の桜は時期まだ早く6~7分咲きでした。
それでも、しだれ桜やソメイヨシノの春色に包まれた祖山では、参詣者の心も春爛漫です💞
日蓮が弟子檀那等は此の山を本として参るべし。此れ則ち霊山の契なり。【波木井殿御書】
祖廟輪番奉仕は日蓮宗寺院檀信徒にとって大事な勤めであり、日蓮聖人のご遺命により身延に建てられた御廟を、直弟子である六老僧がひと月毎に交替で護持したことにはじまります。
守塔沙門である法主猊下より、住職並びに檀信徒の皆様に日蓮聖人へのご給仕を委嘱(お願い)され、その後御真骨堂拝殿にて日蓮聖人に給仕奉仕の誠を捧げる儀式を執り行います。
今回の団参は、久しぶりということもあり、あまり詰め込みすぎないよう配慮しましたが、空白のコロナ年の影響は各所で様々な歪みを遺し続けていました。
引率する教師の半数以上が団参初体験であったり、宿坊は依然として宿泊制限があり分宿を余儀なくされるなど、結果的に至らない点が多々ありましたことを省みております。
この後反省会を開き、来年以降につなげてまいりたいと考えております。
間もなく所長任期6年目。心して新年度に臨みたいと思います。
また、本年1月21日に御遷化されました第52代・第53代管長、身延山久遠寺第92世法主の内野日総猊下 永上院日総上人の増円妙道を謹んでご祈念いたします。
最後に、表題にもしておりますが、春を迎えるたびに頭に浮かぶ祖師のお言葉📚
一華を見て春を推せよ【開目抄】
今月の聖語
『開目抄』/文永9年(1272)聖寿51歳
=一を聞いて十を知る=
いよいよ百花繚乱の季節となりました。ところでその1つ、桜の開花は気象庁が標本木の蕾の状況を観察して予想を立てることでよく知られています。
このように桜に限らずサンプルを元にさまざまな事象を予想することはよくあります。これらから連想する言葉に「一を聞いて十を知る」があります。ですがこの「十」を知るのには優れた英知が必要となってきます。
その英知を開花させるには仏さまの智慧をいただくこと。すなわち信仰が重要になるのではないでしょうか。
日蓮聖人ご遺文『開目抄』
日蓮聖人はこの聖語の直前に「一渧をなめて大海の潮を知り」と示されています。すなわちすべてを調べずとも、一滴なめれば海水は塩辛いものだ。華も同様、桜を見れば春の訪れがわかると述べられます。これを「挙一例諸(一を挙げて諸々の実例とする)」と表現されています。その心は「一」の中に事象のすべてが収まっているのだということです。
この見地は釈尊の一切の智慧は法華経に収まる、との信仰から発出しているのです。
日蓮宗ポータルサイト「今月の聖語」より
https://www.nichiren.or.jp/words/2021/04-1041/