11月27日(日)、第735御遠忌(祖滅734年)の御会式法要を本堂にて営みました。
婦人会の皆さんと、当寺主催のヨガ教室の先生が作って下さったお会式桜を須弥壇に奉納し、長男・次男の太鼓と共に、自我偈~唱題を至心にお唱えしました。
近年、参詣者のほとんどが総代さんと婦人会だけだった現状を打破すべく、数年前からの地道な取り組みが実を結び始めています。
本堂、庫裡に用意する椅子や座布団の数が、年々増えていくのを目を細めて眺めているのは、この道場を50年間支えてきた老いた父母です。師父は一昨年に救急救命に搬送され何とか持ち直して以来、メンタル面の低下は著しいものの、日常の生活を孫たちと一緒に送れています。
母もまた、昨年の御会式直前に重篤な状態に陥り、大掛かりな手術を受けました。今年の御会式に臨めることを、一番夢のように感じているのは、恐らく母自身だったでしょう。11月になると、昨年アタフタしながら毎日通った千里丘陵の風景を思い出します。この1年、家族が一人も欠けることなく過ごせたことへの感謝と同時に、若くして道半ばで倒れた檀家さん、従弟、近所のおばちゃん、そして闘病中の法友への思いが心を震わせます。
また1年が巡って、お会式桜が咲き誇って、そして散って、枯葉が木枯らしに舞い上がるいつもと変わらぬ季節を、少しずつ変わりつつある家族と共に迎えるのです。
寒さ厳しき折、 本年も多くの皆様に足を運んで頂いて、寺を預かる者としましては感無量です。来年の新しい取り組みについてもお話しさせて頂きましたが、日々感謝の気持ちを忘れずに精進して参りたいと思います。
さて、今年の法話・清興の部には、文楽三味線の鶴澤清介師匠をお招きしました。文楽のイロハや歴史的なお話を拝聴し、素浄瑠璃の口演も交えて文楽三味線を実演して頂きました。
広いホールで聴く、一見優雅に見える浄瑠璃とは違って、張り詰めた冷たい空気の本堂で弾かれる弦の音色は、燃え盛る情念の炎で聴く者を圧倒し、格子戸のガラスがビリビリと震えるような迫力でした。
仏菩薩が囲繞する清浄なる道場と、人間の情念を語り上げる浄瑠璃…
相容れない対極にあるからこそ、そこで語られる詞章と三味の音に強く惹かれるのかもしれませんね。
清浄なる道場 燃え盛る情念の炎
開催日:2016年11月27日